「芸術家と、パワハラの構図。」ロダン カミーユと永遠のアトリエ SungHoさんの映画レビュー(感想・評価)
芸術家と、パワハラの構図。
今日の2作品目は、作品の最後のキャプションでも「近代彫刻の祖」と説明されるオーギュスト・ロダンを扱った『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』。
副題ではとりわけカミーユ(弟子)との関係が取り上げられているけれど、作品の主要なテーマは、40歳を迎えてようやく評価されるようになった天才彫刻家と、才能溢れるものの評価されない若き弟子でありかつ愛人と、長年内縁関係にある凡庸な女の3者を中心にめぐる愛欲と、それぞれの苦悩、といった感じ。
ロダンが、カミーユに向かって言った台詞は、最近少し炎上気味だった広告業界の大物をめぐるパワハラの構図にも似ている気がした。 「なぜ私に噛みつくか自覚しているか。世間に認められていないからだ。そして私は認められている」
創造性は必ずしも承認欲求や自己顕示欲と同じところに根ざしているものではないのだろうけれど、それらの異なったものがひとりのパーソナリティの中に共存することが多いということなんだろうな。
人物を撮影するときの構図やお互いの距離感がとてもよく考えられている印象でした。
2017年 通算44本目
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