「これぞロマコメ。キュートでお洒落でロマンティック。」おとなの恋の測り方 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞロマコメ。キュートでお洒落でロマンティック。
ロマコメ大好きな私。個人的に、ここ数年はフランスでロマコメが熱い!と思っている。バネッサ・パラディの「ハートブレイカー」が烽火を上げて以降、リュディヴィーヌ・サニエの「恋のときめき乱気流」やダイアン・クルーガーの「バツイチは恋のはじまり」など、人気女優が軒並みロマコメ作品に出演していたり、男優でもラファエル・ペルソナ主演の「恋のベビーカー大作戦」など、いずれも90年代のハリウッドのロマコメを思わせる、清潔で洗練されてお洒落でキュートでコミカルな恋愛映画でロマコメファンの心を擽る作品が続々と日本に輸入されていてうれしくなる。
今回の「おとなの恋の測り方」もやはり、いい意味で90年代のハリウッド・ロマコメのような爽やかさと愛らしさで溢れている。ロマコメ好きの私にはお誂え向きの恋愛映画。私はフランスにロマコメの残された期待と希望を賭けているよ。
内容は至って簡単。ちょっと心惹かれた男性が、ちょっと(どころじゃない)低身長さんだったら?という、ただそれだけ。低身長と言えど、ルックスも性格もセンスも知性も文句なし。ただ一つの欠点が背が低いということだったとき、この恋心はどうなる?というお悩み。しかしこれ、同じことをハリウッドがやったりしたら、それこそ低身長を嘲笑うような喜劇が連続してしまいそうなところ、さすがはおフランス。低身長をネタに笑うというよりも、低身長の男性を目前にした人々の反応をネタに笑いを起こしている感じがして、思慮と分別を感じます。ヒロインが何を悩んでいるか、というのも、相手が低身長だから悩んでいるというよりも、低身長の男性と一緒にいる時につい周囲を気にしてしまう自分への嫌悪感に悩んでいるというところ、「障害は君の心の中にある」まさしくそれだった。
主演のジャン・デュジャルダンが低身長の男性を実に軽妙洒脱に演じていて、誰が見たって魅力的な大人の紳士。可愛いロマンティック・コメディを洗練されたものに押し上げたのは彼のウィッティな演技あってだろうなぁと感じた。もちろん、ヒロインを演じたヴィルジニー・エフィラも観客の共感を誘う人柄を感じさせる温かい演技でとてもチャーミングだった。
結末は映画を観る前から分かっているロマコメの定番。ちょっと強引過ぎる嫌いはあるけれど、なんとか許せてしまうキュートさ。上映時間の短さと比例して内容もコンパクトでシンプルになっているけど、小粒で甘くてちょっと小洒落たフランス土産のお菓子のような感じで、軽やかに楽しめる小品で好きだった。
フランスは個人主義だしあまり他人に対する決めつけはないのかな?なんて思っていたけれど、やっぱり「誰かと同じ」であることの安心感を求めてしまったり、自分とは違う他者を見かけたときの戸惑う感じというのは、何処の国でも意外と変わらないものなんだね。