「人生にとって大切なものは・・・」世界でいちばん美しい村 koborkanさんの映画レビュー(感想・評価)
人生にとって大切なものは・・・
苦境に陥った時にいかに生きるべきか、人間が生きる上で大切なものは何か、はたまた自分はどう生きるべきか、まで考えさせられる映画です。映画はそのヒントとして、家族や地域の絆、宗教や風習へのこだわりを描いており、実際、映画の舞台となったラブラック村の人々は、大震災に遭いながらも、これらを心の拠り処に、たくましく楽しく生きていて、次第に「世界でいちばん美しい村」が見えてきます。
とは言え、自分の人生は自分で決めるしかない、という厳しい一面も紹介しています。ラブラック村は土砂崩れの危険があり、他地域に移住することを迫られています。身の安全を考えれば移住すべきでしょうが、あるお年寄りはインタビューの中で「自分はここでしか生きられない。先祖代々ここで農民として暮らしてきた」と語っています。それもよくわかります。また、映画の冒頭では、命がけで崖に登ってハチの巣を取り、はちみつを絞る仕事をする青年は「自分たちは昔からこの地に住む神に守られているから、この仕事は危険ではない」とも語っていました。強制移住とならない限り、彼らの一部はこの地に残るのかもれません。
上映後の対談で、石川梵監督と賠償千恵子さんとのトークが大変面白かった。石川監督のこの映画にかける情熱、ラブラック村への熱い想いが伝わってきました。賠償千恵子さんは、大女優なのに物腰が控えめで丁寧、それでいて監督をサポートすべく、映画を宣伝されたり、対談では監督から面白い話をさりげなく聞き出したり、さすがでした。
コメントする