マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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主人公の日常を坦々と描きながら、兄弟愛、親子愛、夫婦の愛を深く印象付ける良作。
Movix堺で映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(Manchester by the Sea)を見た。
月曜日の午前中で観客は我々夫婦を含めて10人くらいだった。
ケイシー・アフレックが主演でマンチェスター。
イギリスの話か?と思ったら違っていた。
主人公が運転する車が左ハンドルなのでアメリカの話だった。
アメリカにもマンチェスターという地名があるようだ。
マンチェスターは、アメリカ合衆国ニューハンプシャー州南部、ヒルズボロ郡の都市。同州の最大都市、かつニューイングランド北部3州の最大都市である。市域人口は107,006人。都市圏人口は40万人以上であり、同州最大。
ケイシー・アフレックの兄が病死する。
遺言によって、兄の長男の後見人に指名されたケイシー・アフレック。
ケイシー・アフレックにはマンチェスターに戻りたくない理由があった。
ケイシー・アフレック兄弟間の愛情、
兄と兄の長男との親子愛、
ケイシー・アフレックと元妻との夫婦愛、
さまざまな愛が描かれる。
映画を見た直後には気づかなかったいろいろな愛が映画を見終わった後にじわじわと感じられる。
主人公の日常生活をたんたんと描くだけのこの映画が、
第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。
ケイシー・アフレックが主演男優賞、
ロナーガン監督が脚本賞を受賞した。
作品賞を「ムーンライト」と競り合ったくらいの高評価の作品。
上映時間は137分。長いが長さは感じなかった。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
故郷と過去
平凡な人生の自分でさえ近所の人が自分の過去を知っていることに嫌気がさすことがある。
それなのに、あんな小さな町でみんなが知っている事件がおきたら・・・
帰りたくないって思うのは当然。
それでも投げ出さず、甥っ子の将来を考えてくれる優しさに涙が出ました。
なぜ、他の家族の養子にならなければいけないのか?が疑問・・・
元妻はなぜいまさら愛しているなど告げるのか・・・
もっと深く探りたくなります。
少しずつ親子になって行ければいいな。
見えない絆
主人公の性格が少し分かりにくく、事件の影響だとしても、突然他人を殴ったりというのは、穏やかなときとあまりに差がありすぎるように思った。
兄が弟に家具を買う場面は、弟への愛情が伝わり胸がじんとした。
心が強くなれなくても、ただ近くにいて、相手を気にすることだけで、見えない絆が生まれていくように感じた。
静かで、じんわりと胸を打つ。
映画の良さが感じられた。
東海岸の小津映画
ある重い事件が原因で人生を捨ててしまった男と父親を喪った甥の少年の物語。タイトルは舞台となる寒々しい港町の名。ケイシー・アフレックの人好きのしない顔が人生を捨ててしまった男にふさわしく、甥の少年も現代っ子らしく悲しみを前面に出さずドライなところがとてもリアルだ。もちろん少年も深いところで傷ついている。
キャメラはほとんど動かす淡々と俳優を捉える。場面転換もポンと港の風景を入れたりする空シーンで小津映画を思い出す。但し本作は時制が過去、現在を往き来し、その転換もカットのみで行なわれるのと、フルショットが多いので付いていけない人がいるかも知れない。映画に慣れているひと向けの映画だ。
映画はほんの少し希望が見えたかのようにして終わる。その際男と少年はほとんど顔を合わせないでキャッチボールをしながら歩いて行くが、ギクシャクしながらも父の代わり、息子の代わりとなっていくのだろうと思わせる。父子はキャッチボールをするものだから。
心が痛い。アメリカの地方都市のお話
2017年の第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。ケイシー・アフレックが、『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴスリングを抑えて主演男優賞を受賞。ロナーガン監督が、これも『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督を抑えて、脚本賞を受賞。ただ、監督賞は、『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督が受賞していて、痛み分けと言う感もある。
アメリカの、地方都市に生きる人々の姿を描いたと言って、良いんでしょうかね。リーは、マンチェスター・バイ・ザ・シーに来る前は、ボストンに住んでいたので、“地方都市”とは言い難いかもしれませんが、マンチェスター・バイ・ザ・シーは間違いなく地方都市です。
加えて言うと、抒情的とも感じます。非常に抑えたトーンで描かれているのは、リーの心情ともシンクロしているんでしょうか。リーは、このマンチェスター・バイ・ザ・シーで“想像を絶する”体験をしていて、心が凍ってしまったという感じですからね。結局、その心の凍結は最後まで解けなかった様ですが・・・。
そういう、抒情的で、非常に抑えたトーンの作品であることが、上映館が少ない事に影響しているのでしょうか?アカデミー主演男優賞と、脚本賞を受賞している作品なのに、上映している映画館が思ったよりも少ない印象です。人の心の痛みを描いた作品で、悪くは無いんですが、結末も必ずしもハッピーエンディングとは言えないので、こうなるのも仕方ないのかな。
主演ケイシー・アフレックの兄、ベン・アフレックの盟友であるマット・デイモンが、プロデューサーの一人に名を連ねている。当初の予定では、プロデュース・監督・主演をマット・デイモンが務める予定だったが、デイモンのスケジュールの都合で、監督はケネス・ロナーガンに、主演はケイシー・アフレックに引き継がれた。
ずっしりと胸に響く。
淡々としていて、最初ははっきり言って眠くなる所も多々ありましたが、とても切なくて心に刺さる作品でした。
リーが悲しい過去と向き合い、少しずつ変わろうとする姿や甥とのあたたかな関係性に感動しました。
結局リーはマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ることはありませんでしたが…最後、「お前が来るかもしれないからソファーを買おう」みたいな台詞があって、リーが過去を乗り越えて前に進む姿に目が潤んでしまいました。
もう1回観たいです。
乗り越えなくても良い
壊れかけた二つの魂の触れ合いから紡がれていく、日常に寄り添う哀しみと生きていかねばならぬ話。と、書くと面倒臭い感じだけれど、ホントに面倒臭い(笑)
それを、流れと画面と音楽で淡々と、ただただ淡々と見せていく。
昔のダスティンホフマンとかの映画が好きであれば、あぁぁ♪となれる気がしたりもします。ラストも含めて久々のジンワリヒットでございました。
ほろ苦い
思ったよりも重く、思ったよりもユーモアもある映画でした。
まったく情報を入れずに観に行ったので、すべての展開に驚き泣き笑い、くちびるを噛みしめながら見守り続けましたよ😣
主軸となる出来事に対し、数々の思い出がフラッシュバックする構成が若干の複雑さを醸し出してますが、主人公のリー・チャンドラー(C・アフレック)の言動に隠された過去が徐々に垣間見えるつくりに自然と引き込まれていきます。
まだ作品の温度感がわからないうち、笑っていいものかわかりにくいシーンがあったりして、奇妙な感覚に襲われ、遠慮しながら笑いをこらえることが多々。
リーの兄ジョーへの急な宣告にも、チャンドラー家の男たちはジョークを交えて会話します…が、肝心の夫までもがいつもの調子なのでジョーの奥さんは混乱&激怒。
観客のほとんども(それジョークなの?本気なの?なんなの?)って思ったことでしょう。日本人にはとくに笑いにくい雰囲気ですよ~。
それに対して甥のパトリックの奔放さは、わかりやすく笑いの許される描写ばかりで、みんな安心して声を出してました😄
パトリックの性格はジョー譲りかと思いますが、彼もまた弱いだけの子どもではなく、しかし社会的に自立した大人でもない、微妙なお年頃。
リーとパトリックの関係はムズムズしてしまい、(リーはなぜこんなにも頑ななのか)という疑問を観客は抱きます。
パトリックは知ってか知らずか、その核心に触れようとはしませんでした。おそらく知らないのでしょうが…。
「なぜボストンにこだわるのか」だけでなく「なぜマンチェスターではダメなのか」も問うべきであるし、それが自然だと思い込んで違和感を覚えてしまいました。これは払拭できなかったじぶんが悪いです💦
よくあるところでは「甥と心を通わせることで過去を克服し、新たな一歩を踏み出していく」となりそうなところ、ほろ苦い結末が待っている。そこが実にリアルです。
ただラストのラスト、溶け残りの砂糖のかたまりをひとなめしたような、ほのかな甘みも感じることのできるステキな終わり方です。
終盤から涙が止まりませんでした…。エンドロールの余韻もすばらしく、こころが温かくなって劇場を後にしました💖
悲劇と悩み
場面が前後するためわかりにくいですが、大変な悲劇や早すぎる別れで胸が押しつぶされます
そこから皆さんが意見を出し合いながら新しい生活に踏み出してゆく。この先も皆さん大変そうながらも最良の結末だったように感じました
難破船…
人生という広大な海で難破してしまった男の哀しい物語。
名作だが退屈です。
ただ、他にはないテーマがある。
主人公が生きる意味を失ったかのような
生活を送る一方、
2人の女の子と学園生活を満喫する甥、
悲劇を乗り越えて子を作る元妻。
それらの姿が、主人公の不器用さを
より際立たせる。
この難破船が、一体どこに辿り着くのか…。
人生、乗り越えられないこともあるのだ。
そう訴えてくる。
2時間以上(物語上は半年)かけて
変わったのは自分の家にリビングセットを用意することだけ。
でもこのわずかな差が、
彼の人生には必要なのだろう。
このあとエンジンが壊れてしまった男は、
手漕ぎのオールでどこまで進めるか…。
マンチェスターの寂しく、
しかし生活臭のする街も心を打った。
印象的なシーンは、
半地下の自室の窓のカット。
坂道で出会う元妻と赤子の不安定さ。
2時間を超える物語、睡魔との闘いながら無事ゴールまで持つかとぐらつ...
2時間を超える物語、睡魔との闘いながら無事ゴールまで持つかとぐらつくような思いで観始めたら時間を追うごとにこの世界に引き込まれた。背負った罪に苦しむが故に他人に対し暴力的あるいは無関心になりいつどうなっても構わない立ち振舞いに泣きが入る。音楽の使い方に疑問が残るがそれおも上回る台詞や行動演出にやられた、辛すぎるの一言に決壊しました。
年に一回くらい、つい寝てしまうのが決まってヒューマンもの。あの取り...
年に一回くらい、つい寝てしまうのが決まってヒューマンもの。あの取り残された感で映画に入り込めない感が悲しい。これもそんな映画だった。
しみる作品。
ケネス・ロナーガン脚本監督によるオリジナル作品である。
丹念に作られている映画で、それだけで好感がもてる。
ボストンで便利屋として働いているリー(ケイシー・アフレック)のところへ兄ジョー(カイル・チャンドラー)の訃報が届く。ジョーが住むリーにとっては故郷になるマンチェスターは、同時に非常につらい場所でもある。
ジョーの息子パトリック(ルーカス・ヘッジス)は、父の死にショックを受けながらも、自分の生活をしっかりとしていける人物に描かれている。
だから余計にリーに焦点が当たる。
「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本を手がけたという印象が強かったので、もっと大味かと思っていたが、過去2作の監督作品が日本未公開になっているところをみると、本作のようなヒューマンドラマが本領なのかもしれない。
ケイシー・アフレックは確かに良かった。
そして、マシュー・ブロデリック!懐かしすぎる。
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