「癒えることのない傷を抱えながらも生きていく」マンチェスター・バイ・ザ・シー いたかわさんの映画レビュー(感想・評価)
癒えることのない傷を抱えながらも生きていく
心を閉ざした男が兄の死によって、かつて住んでいた地を訪れる。そこで、兄の息子と生活を送ることになり、過去の悲劇と向き合うことになる…
所々、絶妙なタイミングで過去の映像が流れることで、陽気だった主人公リーに一体何が起きたのか?なぜ行き場のない怒りを抱え、何か悲しそうに見えるのか?興味を引き立てる構成になっていると感じた。
そして、主人公のリーを演じたケイシーアフレックの明と暗の演技の対比に脱帽した。ベンアフレックの弟ぐらいの印象しかなかったが、人生の落伍者を演じさせたら間違いないのかなと思った。
そして、マンチェスターの静かな波が印象的。初めはリーの心情と同じように、悲しく、冷たい印象を感じた。しかし、終盤では変わった。心に負った傷は全てが癒えるわけではないが、甥や元妻との交流を通して、一歩を踏み出そうと変わったリーをそっと送り出すような印象になった。
本作は明快なメッセージが表示されたり、結末があるわけではないが、登場人物が織りなしたドラマは心に深く染み渡っていった。見て良かった❗️
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