「それでも生きていくしかない。」マンチェスター・バイ・ザ・シー ちゃーはんさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも生きていくしかない。
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鑑賞後にキャッチコピーを見ると改めて、なるほどなぁ、と思う。
「癒えない傷も。忘れられない痛みも。その心ごと、生きていく。」
なぜ、自分が生きているのか、自分が死んだほうがよかったのに、と思っていないはずかない人物が、心を凍りつかせながら、生きている。
そうしないと、生きていけないからだ。
元奥さんとの再会で、再びほぐされた心の行き場が、荒んだ心にいくしかないリアル。
強さなのか弱さなのか、という安直な言葉を飛び越えるほどの映画だった。乗り越えようとするわけでもなく、忘れようとするわけでもなく、それでも生きていくしかない現実。向き合わざるを得ない現実。
つらくないはずがない人ばかりが登場する映画。一人一人のつらさがあって、それでも生きていっている。
愛とは、簡単に渡したり、あげたりできるものではない。
兄が託したこの世で1番大切な息子のこと。
妻がずっと誰にも言えず抱えていた愛。
愛を受け取るわけにはいかない過去の罪。
生きていくしかない、と思えるのは、愛があったからかもしれない。
「自分で決めろ」「乗り越えられない」
この言葉が、こんなにも力強く、心に響くなんて、この映画だからこそだったと思った。
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