「癒える事の無い傷のいたみ」マンチェスター・バイ・ザ・シー ポップコーン男さんの映画レビュー(感想・評価)
癒える事の無い傷のいたみ
生きている中で、毎日の生活の中で数え切れないほどの失敗やミスを犯してしまう。
しかし、そのミスが人の生き死にに直結する事はあまりない。
今作は小さな小さなミスで起こした事故の十字架を背負い生きていく人の話。
主人公のリー役のケイシ―・アフレックは寡黙で突然切れたり情緒不安定な感じがある人間。しかしながら家族とのシーンでは非常に優しく愛に満ち溢れた様子で見ていて温かかった。
兄役のカイル・チャンドラーは出番こそ少ないが非常に思いやりがあり、父親としても優しい模範的な感じがした。以前何かで見た時は嫌な役だったきがするが、、、w
妻役のミシェル・ウイリアムズはあまり見たことが無かったが、最後の方の演技はグッと来た。何かあのシーンは演技を超えた何かが宿っていた様に感じめちゃくちゃ映画に引き込まれた。
ケイシ―も演技では無い様子が感じられた。良い意味でw
タイトルを見てイギリスのお話か?w
と思っていたがアメリカのお話ですw
あまり風土や土地柄等はわからないが、かなり寒そうであり非常に美しい風景が描かれていますが、それに合わせて流れている音楽がまた美しく映画をより良い物にしています。
万人受けする内容では無いと思うが、時間軸がうまく絡み合いゆっくりと明らかになっていく内容に合わせてリーに引き込まれていく人は大号泣でしょうね。
僕はそこそこきました。
見ながら思っていたのですが、細心の注意を払っていても対向車が飛んできたり。
テロに巻き込まれたり。何も悪い事をしていないのに、ましてや信心深い人でも構わず神様は殺してしまう。
どの様に生きるか死ぬかが決まっているのか?
この映画の事故の様な事がもし起こってしまったら自分はもう前を向いては、笑顔を出しては生きていけないでしょう。
リーの発した「乗り越えられない」と言うセリフは色々な意味を含んだ一言でこの言い回し以外無いのではないか?と感じ深い感動を覚えました。
このマンチェスターではたぶん家族と行ったレストランや売店、公園等色々な所で面影を追いかけてしまう。フラッシュバックもしてしまうでしょう。
僕だって彼女と別れてすぐなら重ーい空気でイオン等に足を運んでいましたw
別れた彼女は死んだわけではなく別れたからいいんですが、家族でましてや亡くしてしまうと考えるとそれだけでゾッとします。
映画の中の出来事ですが本当に胸に重くのしかかり、明日からしっかりと生きていこうと思える作品でした。
最後に劇中では結構笑えるユーモアが散りばめられており良かったです。