「想い出にかわるまで。」マンチェスター・バイ・ザ・シー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
想い出にかわるまで。
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主人公役がマットでなくケイシーに代わって良かったと思った。
知的で頑丈なマットではこの味わいは出せなかっただろうから。
彼が過去に負った傷とは何なのか、それが判明する中盤以降は
正視できないほどの悲しみが襲う。もし私だったらと彼と妻の
双方に例えてしまった。こんな悲劇を背負った人はその後どう
やって生きていくのかとニュースを見て思ったこともあったが、
後半で偶然再会した元妻との会話では更に胸を締め付けられる。
歩み出した妻と歩み出せない夫。セーターで大事に包んだ三つ
の額縁を甥がジッと見つめるシーンにその悲しみが集約される。
喪失感は人それぞれだ。気丈に振舞う人もいれば悲しみを露わ
にする人もいる。自分を責め続ける人もすぐ前へ進む人もいる。
「もしお前が泊まりに来た時のためにソファーベッドを買う」
と甥に告げた主人公の言葉に涙が溢れた。ひとつ乗り越えたな。
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