「見終わったあと語り合いたくなる映画」マンチェスター・バイ・ザ・シー むっしゅさんの映画レビュー(感想・評価)
見終わったあと語り合いたくなる映画
兄の死と残された甥っ子を預かるという問題を軸に前半は静かに日常が流れていきます。そのあまりの平凡さに、いい映画風ではあるもののこのまま見ているのはつらいかもと感じ始めた中盤に大きな動きがあり、否が応でも物語に引込まれていきます。ここの描写は驚くほどの名演出。
そうなると前半のあらゆることが後半へ繋がってゆき、なるほどと納得もあるけど、うっかり見落とした感も半端ない。もう一回見直さなければ的な。
それはさておき、自身の過去からいつまでも立ち直れない主人公と、父を失いながらも日常に適応してゆきつつある甥っ子のコントラストが、これも静かな中にじっくりと描かれてゆきます。そこにはドラマチックな過度な演出は存在せず、自然体な描きが心地よい。
それぞれの心の痛みがじわじわと伝わってくる見ていてつらい面もある作品に、ほんの少しだけの癒やし、救い、赦しが胸にすっと落ちてくる秀逸な演出。
ケイシー・アフレックと甥っ子役、ふたりの心の演技にところどころ目頭が熱くなる素晴らしい作品でした。
コメントする