「「乗り越えられない」と言えること」マンチェスター・バイ・ザ・シー やっちさんの映画レビュー(感想・評価)
「乗り越えられない」と言えること
兄の急死によって一人残された甥・パトリックの後見人となった主人公のリー。
他人と関わりを断ち、ただ生きてるだけの日々。
パトリックの面倒を見る事で否応なくまた他人と関わりを持たざるをえなくなる。
その中でリーの辛い過去の出来事が姿をあらわす。
それは閉じ込めて心の奥深くにしまい込まなければ耐えられない、直視なんてできない辛い過去だった。
初めはお互い自分の主張ばかり繰り返す二人。
そんな中でリーはパトリックの、パトリックはリーの癒せない傷を見つける。
リーはパトリックの面倒を見るうちに辛い過去の出来事に直視し、それを自分には「乗り越えられない」とパトリックに話す。
直視できず見ないようにしてしまい込んでいたものを、自分の傷として認める事がようやくできたのだ。
だからといって劇的に快復する事なんてない。
傷は傷のままで、乗り越えられない過去は乗り越えられないままで、生きていくしかない。
でもそれでも生きていこうとするリーの姿と淡々と見えるラストの場面が重なった。
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