「受け継がれていく」ワイルド・スピード ICE BREAK ゼリグさんの映画レビュー(感想・評価)
受け継がれていく
監督が変わって、正直今までよりアクションの見せ方は上手くない。
けれど、このシリーズに関しては、もうバカみたいなアクションを見せてくれれば文句なし。
戦車と戦い、ドローンと戦い、今回は潜水艦と戦う。
わざわざスポーツカーを使って。
走り屋ってすごい。
ニューヨークの大惨事なんか完全にブルースブラザース。
あんなのを大真面目に撮ろうと思うなんて頭おかしい。
大好き。
それだけでも満足だが、まだ言いたい事はある。
このシリーズは、前作のラストで完全にブライアンというキャラがポール・ウォーカーと同一化した。
それを受けての今作は、こういう物語にするしかない。
ドムの息子が登場し「名前を付けて」という展開になる。
だとしたらもう、付ける名前は一つしかない。
確かにラストは誰でも予想できる。
しかし、予想していたからこそ、これしかないという終わり方をちゃんとしてくれた事に対して、感動してしまった。
というのも、中盤で、息子に触れられず、ヴィン・ディーゼルが泣くのである。
この「どうすることも出来ず、泣くしかない」という行為が、僕だけかもしれないが、どうしても現実とダブってしまうのである。
しかもその息子はのちに「ブライアン」と名付けられる。
ブライアンとは、ポール・ウォーカーである。
どうしても触れられない存在。
あの涙はヴィン・ディーゼルがポール・ウォーカーの姿を浮かべて流したものだと思えてならない。
そんな妄想をしてしまうと、もう涙が止まらない。
その姿は無くとも、ブライアン=ポールの意思はしっかりと、今作に受け継がれている。