「ポール・ウォーカーの喪失感をおぎなうために躍起」ワイルド・スピード ICE BREAK Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ポール・ウォーカーの喪失感をおぎなうために躍起
"世界歴代興収6位"という記録を打ち立てた前作「ワイルド・スピード SKY MISSION」(2015)からちょうど2年。シリーズ8作目は、ポール・ウォーカーの喪失感をおぎなうためのグレードアップに躍起になっている作品。
ワンパターン化したシリーズ物にありがちな、"裏切り"あるいは"偽物"展開である。主人公のドミニク(ドム)が仲間と敵対する。"無敵のチームの最大の敵は、チーム自体…"というわけ。
ファンだからこそ、あえて厳し目にいえば、完全に"ジャブ"である。新三部作の第一作だから仕方ない(2019年と2021年に続編予定)。そのためにドムファミリーの再構築の布石をいっぱい打っている感じで、ついに最大の敵のはずのデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)が仲間になっちゃう。しかし、ステイサム・ファンにはかなりの満足度が得られるはず。
スコット・イーストウッド(クリント・イーストウッドの息子)を、ポール・ウォーカーのポジションに育てようというのか。ジェイソン・ステイサムがカッコよすぎて、まだまだ無理かもね。ファミリーを大事にするというシリーズの絶対鉄則は、キャスティングにも貫かれていて、前作でたくさん仲間を失ってしまったため、テゴ・レオとリコ・サントスが再登場する(…MEGAMAXで金庫をすり替えた仲間ね)。
とはいえ、"必ず前作を超える"という命題に挑み続けるカーアクションになんの文句もありません。"これ以上はない"と言わせない姿勢は今回も健全。あり得ない光景を観ることができる。ホント、よく考えるもんだわ~。
とりあえず初回は4DX2Dで観たけれど、前作同様にIMAX3D版もあります。ただし「ワイルド・スピード」はVFXではなく実車アクションが多いので、2D-3D変換には限界がある。前作も3Dはひどかったし、これは2Dでいいかも。
本サイトの原題表記が間違っています。「Fast & Furious 8」は正規ではなく、「The Fate of the Furious」です。早く直してください。
(2017/4/28/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:岡田壯平)