「意外と複雑な作品」リメインダー 失われし記憶の破片 yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
意外と複雑な作品
ストーリーとしては、ある事故で過去の記憶を失った男が、保険金を得て大金持ちになり、そのお金を使って過去の記憶を取り戻そうとする、という割と単純な話。
しかし、過去の記憶の断片をつなぎ合わせた結果、未来と繋がってしまいループする、過去は未来と一緒、というのは割とSFなどで扱うテーマでもある。
この男は過去にしか生きていない。現在(今)も、可能性のある今である未来も見ていない。結果、ループする。
おそらく、一瞬でも現在や未来を意識したら、このループから抜け出せるのだろう。
この映画で切り取られた時間も、もう何周目かのループだろうし。だから未来予知みたいなことが起こっている。
この「時間とは今の連続である」という時間の捉え方は、東洋的ではなく西洋的な考え方だ。
たしかニーチェとかが言ってたような。。
東洋では直線で考えているように思う。仏教の輪廻転生もループのように見えて因果の話だから直線だ。因果は明確な時間軸が存在するので。
西洋の価値観に普段から接している人ならば、結構ハマるのかもしれない。
そう考えると、単純ではなく複雑な設定の、哲学的な作品とも言える。
映画もイギリスとドイツの合作作品みたいだし。
西洋国家の人たちには肌が合うんだろう。
しかし、東洋人である日本人には全くピンと来ない。
この作品を理解できる日本人はかなり少ないだろう。
それくらい日本人には難解な作品。
サスペンスのようだが、謎らしい謎も結局解明されない。ストーリー的な面白さはない。
この作品の製作者は時間の観念を伝えたかったのだろうか?
それは良いのだが、それにしても退屈な作品になってしまっている。もっと面白く作れたのではないのか?
作品を通して一貫する陰鬱感は多少芸術的ではあるが、製作者の自己満足でしかない気もする。
この作品にこれ以上の点数は付けられない。