「ネームバリューあるキャストと大層なテーマを謳いながら、単なるB級ストーカー映画じゃん」DEMON デーモン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ネームバリューあるキャストと大層なテーマを謳いながら、単なるB級ストーカー映画じゃん
母親の家を相続し、故郷の田舎町に戻ったヒロイン。
一人の男が執拗な嫌がらせ。その男は“レクター博士”…じゃなかった。
保安官や町の住人は誰も助けてくれない。唯一助け舟を出してくれた初老の男(と親戚の若い男)が“レクター博士”だった。
アンソニー・ホプキンス、ジュリア・スタイルズ、レイ・リオッタらのネームバリューに釣られて見たら、とんだ目に。
オスカーに輝くサー・ホプキンスもこんな作品で律儀に悪役やるリオッタも気の毒なくらいのB級サスペンス。
ホプキンスと監督は『ハイネケン誘拐の代償』で組んでいるが、あちらもとりわけ面白かったとは言えず、本作はさらにも増して。ホプキンスはもうこの監督と組まない方がいいかも。
アメリカの闇を描いた社会派サスペンス…なんて謳われているけれども、他愛ないストーカー・サスペンス。
ヒロインと初老の男と親戚の若い男の3人だけでストーカー男を探し、立ち向かう…のだが、本当にただそれだけ。何の捻りもナシ。
ドラマ部分は淡々としてるし、サスペンスもハラハラドキドキスリルは盛り上がらない。
各登場人物の背景や描き込みも不足。ヒロイン、そんなに魅力的か…? 力になってくれた決定的な理由は…? ストーカー男が町中の人たちから怖れられる理由も今一つ。
遂に対峙。『ハンニバル』の因縁の対決再び!…と思ったら、たった一発の銃弾でケリが着き、拍子抜け。
何を描きたかったのか…?
一応老人の真意もあるのだが…、これも描き込み不足。しっくり来ない。
アメリカの闇…?
ストーカー被害…?
勿論それらは問題で犯罪だが、主人公らの取った行動も犯罪スレスレ…いや、犯罪です! 正当防衛とは言え、人殺しちゃってるし…。
暴力に暴力で対抗する、ひょっとしてこれがアメリカの闇…?