劇場公開日 2017年4月29日

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「抜きん出ている」帝一の國 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 抜きん出ている

2025年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

原作未読です。
「意外な掘り出し物」「正直なめていた」「イケメン大集合」「面白えじゃん」こんな感想が聞こえてきて、ちょっと興味がわいた次第です。普段、邦画はほとんど見ないのですが、『海月姫』以来、ひさびさに見た菅田将暉くん。見事に作品ごとに違うキャラクターを演じ分けていますね。それにずいぶんと人気者になって。

だけど、この映画、帝一はそれほど動かないキャラクターで、むしろ彼の周りに起きる事件にいちいち大げさに反応する狂言回しのような役割ですね。主要なキャラクターを上手に描き分けてあり、この映画に出演した俳優さんたちはことごとくみんな得したんじゃないでしょうか。全員の出世作になり得ると思います。

わざと、ケータイのないブラウン管のテレビの時代設定にしたのか、よく分かりませんが、全体的にテンション高めの芝居に終始して、コント風の味付けなので安心して見ていられます。リアルじゃないから、より、キャラクターの内面性を掘り下げられる構造になっているのですね。見事な演出です。

殴り合いのケンカ(実際には砂まみれの相撲)、決裂のシーンで相手を殴り倒す(カットをつないでうまくそう見えるよう演出している)唯一の女子がセーラー服で帝一の敵をハイキック一発でKOする(これも編集が抜群に上手い)など、男くさい画面のなかの暴力描写は意外なほど柔らかめ。むしろ、ピアノが上手だったり、フォークダンス、将棋、和太鼓など、変化に富んだ画面は見ていて飽きません。

いちばん好きなキャラクターは何といっても、大鷹弾ですね。周囲の人間が何か事件を起こすほどに、彼の行動が必ずいいほうに物事を動かし、好かれる人物として描かれている。帝一は、ストーリーの中で驚くほど何も成し遂げていませんが、大鷹弾との友情を育むストーリーとして見れば、二人とも魅力的なキャラクターです。

うそつきかもめ
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