「何と言えばいいか分からない後味」わたしは、ダニエル・ブレイク ke_yoさんの映画レビュー(感想・評価)
何と言えばいいか分からない後味
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何の予備知識もなく観たら、とんでもない映画だった。
真面目に勤労し、納税し、妻の介護までしてきた1人の男が、心臓病で仕事出来なくなったことを就労不可と認めない、医学知識の浅い人間が安易に出した結論のみによって、社会からはじかれていく。
身体に無理をさせて仕事に就くべきだったのか。
どんな屈辱や理不尽にも耐え、何度も求職者申請を続けるべきだったのか。
初めだけ手を貸してくれるかもしれない友人知人から、信頼を担保にお金を借りれば良かったのか。
いや、そうではないだろと思いたい。
一つ目は死んでしまう。そんなの過去の奴隷と同じではないか。
二つ目、三つ目は、赤の他人の話や創造だと思って外から見るから言えることだと思う。
二つ目三つ目を推奨しているような、映画に批判的なレビューを読んだ。
とても恐ろしい考え方をする人間がいるんだと思った。
昨今増加している、匿名では正しいことだけを追求する理想論自己陶酔にしか、私には思えない。
本人に非がないのに、惨めさに耐え続けるのが市民なのか。
返すあてもないお金を借りて、周りから信頼を失い老いていくのがベストか?
残酷な外野の正義感などいらない。
真綿で首を絞めるような、リアルな不幸を見事に描いている傑作だと思う。
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