「タイトルが全てを語る」わたしは、ダニエル・ブレイク nagiさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルが全てを語る
簡潔ながらも魂のこもった作品に出会えた。
このタイトルが本作のメッセージの全てを語る。
I, Daniel Blake
nothing more, nothing less
無数のシステムが複雑に絡み合い、何をするにも簡単明快にはいかなくなってしまい、世の中の正義など失われてしまったように思われる現代に暮らす私たちが忘れていること。
自分は管理番号でもなければ顧客でもなく、Daniel Blakeという人間で、それ以上でもそれ以下でもない。これが人間に当然として備わっているはずの尊厳である。一人の人間として、大きな者には媚びず、困っている隣人は助ける。即物主義の社会においてはなぜこれが当然としてなされないのか?
AIを始め情報化社会に対してアイロニカルに接近しようとした作品は多数あるが、ここまで本質をクリティカルに突いた作品もないだろう。この一行のタイトルと100分の映像で全てを語る様は美しくもある。
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