「不思議な余韻を是非体験して欲しい。」わたしは、ダニエル・ブレイク だいきつさんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な余韻を是非体験して欲しい。
見終わって30分ほど経つが
まだ頭の中がジンジンと熱い。
驚くほどエンドロールが短かったので
劇場の暗闇の中で余韻に浸る時間もなかった。
込み上げてくる感情はあるが
感動した?訳ではない。
涙もこぼれたが、感涙の涙でもなかった。
ここ最近観た映画の中では
独特な余韻が長く続いている。
けれど、とにかく見てよかった。
劇場が少ないので
電車で1時間かけて観に来た。
その甲斐があった。
人を選ぶ映画だった。
観るタイミングも
一緒に観る人も
選ぶ映画だと思う。
おそらく、観ていて
辛い「100分」になるだろう。
でも、是非観て欲しい。
ほとんどBGMなし。
残酷なまでに淡々と進むその様は
深夜のドキュメンタリー番組を見てるかのよう。
ささやきのようなセリフや
路面を踏みしめる音。
全ての日常の音がくっきりと聞こえて来た。
だからこそBGMなんて、いらなかったのか。
正直、序盤は
ダニエルにも、シングルマザーにも
感情移入できなかった。
そこまで怒ること?
自業自得じゃないの?
そう感じていた。
「役人目線」で物語を見ていた。
だが、物語が進むにつれ
気がつくとダニエル側から
景色を見ている自分がいた。
フードバンクでのシーンでは
ダニエルと一緒に
ケイティを慰めている自分がいた。
ダニエルの落書きのシーンでは
通りすがりのおっちゃんと一緒に
大喝采を送った。
自分の隣にもし
「ダニエル」がいたら?
私自身、家電量販店に勤務している。
パソコンを担当している私は
毎日のように、ITに不慣れな
いろんな「ダニエル」に出会う。
自分のスキルがあれば
彼らを助けられる。
でも業務外になってしまう。
役所で女上司に叱られていた
アンの気持ちが痛いほどわかる。
明日ぐらいは
業務逸脱してみようかな(^^;;
まだ余韻冷めやらぬ今のうちに
上司への言い訳を考えておくか(^-^)v