「宗教的欺瞞にあふれた作品。」ハクソー・リッジ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
宗教的欺瞞にあふれた作品。
メル・ギブソンの監督復帰作品として大いに期待しての鑑賞だったが、なんとも微妙な作品。
実話に基づく作品だが、それを前提にしても正直この物語には素直に感動できない。
主人公は敬虔なキリスト教徒。幼少の頃の経験から、人の命を誰よりも重んじる青年。そんな彼が戦場で敵味方を問わず人命救助に命をかける様を見れば感動するでしょという作り手の思いが常に透けて見える演出がまず無理。
子供向けと考えれば納得はできるが、本作は結構な残酷シーンもあり、あくまで大人向けであろう。
そもそも主人公が人命を何よりも尊重する人間であるならば、戦場に行くよりも人命軽視の極致である戦争に対して反戦運動をするのが筋ではないのか。にもかかわらず、彼は自ら志願して戦場へ向かう。
彼は戦場で仲間を命がけで救うが、その救われた仲間は治療を受けて再度敵を殺すために戦場に出ることになる。つまり主人公は間接的に敵の命を奪うことに加担しているのだ。たとえ敵兵の命をも救ったとはいえ、やはり人命を重んじるはずの主人公のこの行動には矛盾を感じざるを得ない。どうしてもその辺が引っかかって本作を楽しむことは出来なかった。
同じく敬虔なクリスチャンであるメル・ギブソンがこの物語に飛びついたのは容易に想像がつくが、宗教的欺瞞にあふれた作品としか思えなかった。
メル・ギブソン監督には過去作のアポカリプトやブレイブハートで圧倒的に魅了されたのだが、今作の演出はやたらと仰々しかったりと、いまいちの印象だった。やはりブランクが尾を引いているのだろうか。
本作は確か次の作品まで時間があるから観ただけだった記憶があります。メル・ギブソンだから観るのをやめようと思いましたが、色眼鏡は良くないといざ鑑賞。戦争を美談に描く映画は本当に嫌いなんですよ。自己犠牲なんてのも嫌いです。レントさんもだと思いますが。
はじめまして
唐突にフォローと共感を押してすみません。
それなのに「ベイビー・ブローカー」に共感ありがとうございます。
映画館の鑑賞が多いのですね。
私も以前は映画館に足を運んでいましたが、最近はご無沙汰です。
後追いのレビューになると思いますが、映画を愛する1人です。
良かったら、またお邪魔させていただきます。