劇場公開日 2017年6月24日

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「【良心的兵役拒否者の、命を懸けて任務を遂行する姿に慟哭を禁じ得なかった作品】」ハクソー・リッジ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【良心的兵役拒否者の、命を懸けて任務を遂行する姿に慟哭を禁じ得なかった作品】

2019年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

 壮絶極まりない沖縄戦の中でも史実に残る”前田高地=ハクソーリッジ:高さ150Mの絶壁”の攻防を”これ、「プラーベート・ライアン」級じゃないか”と思わせる程の白兵戦の激烈さ、生々しさで描き出す。

 砲撃音が炸裂する凄まじさ、吹き飛ばされる兵士達の腕、足、身体・・。その中をデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は敵味方関係なく、躊躇いなく救い出す。

 ”良心的兵役拒否者”として、当初侮蔑の視線を浴びせられていたドスが何度も何度も”ハクソーリッジ”を登り、自軍が撤退した後も戦場に残り且つて自分を侮蔑した上官を含め75名を救出する姿には敬服するしかない。

 彼が負傷した兵士達の元に駆け寄り”俺が家に帰してやる”と声掛けし、砲弾が行き交う中、負傷兵を背負いハクソーリッジの崖淵まで何度も何度も往復する姿に次第に感嘆の目を向ける米国兵士達・・・。

 序盤のデズモンド・ドスが看護師ドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と恋に落ち結婚する姿や、自ら銃に触れない信念を貫く姿(軍法会議で信念を宣言する姿!)を見た後だけに、感動は高まるばかりである。

 唯一残念だったのは(仕方がないのは充分承知しているが)、対峙する沖縄の日本兵の描写である。意を汲んだ感は感じられたが、哀しき悪役感が漂っており(無謀な攻撃の数々)もう一歩、日本サイドの背景も描かれていたらより心に残る作品になっていたのではと思う。

<良心的兵役拒否者の、武器を一切持たず傷ついた兵士達を延々と救出する姿に強烈な反戦思想を感じた作品>

<2017年6月24日 劇場にて鑑賞>

NOBU