「出すぎれば個性。」ハクソー・リッジ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
出すぎれば個性。
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つくづくメル・ギブソンって凄い俳優&監督だと思ってしまう。
まさに映画的最終兵器(ないですこんな言葉)じゃないけど何度
も沈んで這い上がる運の強さが正にハクソー・リッジみたいだ。
偶然の産物か、またもガーフィールドが信仰心の厚い役を演じ、
これがまたよく嵌っている。ラストに本人の映像が出てくるが、
こんな人がいたとは…と驚くこと必至。だけど思うのは、もし
日本にもこの「良心的兵役拒否」が認められる制度があったなら
何人の息子が志願しただろう、家族がそれを願っただろうかと。
彼の信念は決して揺らがず、どんな虐めやリンチに遭おうとも
それを貫き通し、結果周囲がそこに動かされる。何度も断崖を
行き来し負傷兵を治療、救った行為は確かに素晴らしく尊いが
戦争そのものを批判することは決してなかった。そんなことが
言える時代ではなかったかもしれないが、やはり矛盾が生じる。
軍曹や大尉が何を言ってるんだ?コイツと思うのも無理はない。
昔ある本で読んだ一節に「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は
個性とみなされる」というのがあった。読んだ時になるほど~
と思った行為をここで観た思いがする。そして演出がお見事だ。
前半のアットホームな恋愛劇から後半の肉片飛び散る戦場へと
一気に場面が変わって緊張が続いても、要所要所でドラマ性を
確立、どうして彼の演出は弱き者に優しいのかと涙が出る場面
も多く見受けられる。作り方が巧い。やっぱり最終兵器は彼だ。
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