「臆病者・・・ではない」ハクソー・リッジ kita-kituneさんの映画レビュー(感想・評価)
臆病者・・・ではない
沖縄戦であることは映画を見る直前に知った。
WW2の映画で連合軍VS枢軸国の対立となると、潜在的に連合軍側の敗北、枢軸国側の勝利を期待してしまう。40数年前から見ていた戦争TVドラマ「コンバット」から続く、枢軸国=悪の図式に、苦々しさを感じるからだろう。「プライベートライアン」や「父親たちの星条旗」でさえも。
だが、本作の戦闘シーンは違った。
わが日本軍が頼もしいというよりも、米軍視点に立ってしまい、本当に恐ろしく手ごわい敵に見えてしまった。
沖縄戦は非戦闘員も巻き込んだ戦闘として、正規軍の戦闘が勇ましく描かれることは、日本においては不可能に近いと思われ(戦艦大和の沖縄特攻は繰り返し見せられているが)、「父親たちの星条旗」同様、米軍側から提示される形になり、ちょっと情けない気分にはなる。
宣伝文句では主人公を「臆病者」と称しているが、信仰に依拠する信念を最後まで曲げない点において、誰よりも勇敢とも思える。また、この「臆病者」の存在を認め、「戦力」とする米軍に懐の深さを感じる(今の米軍に正義があるかどうかは知らないが)。
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