「環境問題を織り込んだ予想不能のナンセンス・コメディ」人魚姫 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
環境問題を織り込んだ予想不能のナンセンス・コメディ
チャウ・シンチー自身、この映画が中国の歴代興収の新記録を打ち立てるなんて予想しただろうか。とはいえ、彼の『カンフー・ハッスル』や『西遊記』などに比べると、やや肩の力を抜いた状態で取り組んだ感もあるこのファンタジック・コメディ。序盤、前置きが長くてなかなか本題が始まらないという、シンチーならではのナンセンスぶりに翻弄されつつも、やがて中国が直面している環境問題を説教臭くならない程度に盛り込みながら「ロミオ&ジュリエット」的ラブストーリーへと帰着させていく点に好感が持てる。そして、この人、VFXを使ってスペクタクルを巻き起こすというよりは、むしろ小さな驚き(タコ足や人魚の尾ひれなど)や小ネタを細々と描いて見せるところも相変わらず。正直、力ワザで笑わせる部分も多いが、日本人としてはむしろ、本筋の大きな笑いよりも、脱線気味なシーンの意表をついたシュールな笑いの方が楽しめるのではないだろうか。
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