「王道エンタメにテーマ性を忍ばせて」人魚姫 ゆるさんの映画レビュー(感想・評価)
王道エンタメにテーマ性を忍ばせて
人魚vs人間
まず字面から興味をそそられます。
環境破壊により住処を失い、仲間を殺された人魚が、人間に復讐するためにハニートラップを仕掛けるという導入から、
軽妙かつ同情をうむ内容で素晴らしいです。
冒頭の動物たちが死んでいる映像が効いてますよね。
そこからはロミオとジュリエットの構図でメインストーリーが進んでいくのですが、
"成金"vs"2代目"的な内側の微妙な力関係
研究という一見正当な目的と手を組んで行われる虐殺
など、所々胸が痛みます。
搾取される側は圧倒的に無力で、それがまた辛い。
その観客の辛さと、主人公の考え方がシンクロしていく展開が、一層感情移入を高めます。
主人公が種族間を越えた愛に気づいた時には、愛する人は窮地に立たされている。
果たしてそれを救えるのか…
というクライマックスは、気持ちも盛り上がりハラハラと息を飲むスピード感。
王道の展開にも関わらずこれだけ楽しめ、満足できるのは
主人公とヒロイン、その脇を固めるキャラクターの魅力も大きいのでしょうが
現代の香港が抱える問題や登場人物の心情が丁寧かつ分かりやすく散りばめられてるところにあるのかなと思いました。
あとはスピード感!
展開が早くて飽きずに楽しめる良作です!
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