「終始説明不足」素晴らしきかな、人生 楳さんの映画レビュー(感想・評価)
終始説明不足
クリスマス映画の名作『素晴らしき哉、人生!』のリメイクかと思いましたがそうじゃないようです。
懐かし映画だと思って祖母と来ましたが祖母が分からないならともかく私も分かりませんでした。
不明な点を幾つか挙げるとすると
1.主人公の問題
娘が亡くなって気を病んでいるのは確か。ですが『素晴らしき哉、人生!』のように金に困り自殺を図るとかそういうことでもありません。ちゃんと会社で働いています。会社の経営が少し苦しそうな描写はありましたが、深刻では無さそうでした。むしろ、心配して探偵や役者を手配していた三人の同僚の方が高齢出産、別居している娘、大病を患っているなどの主人公より明確でナーバスな悩むを抱えています。
2.カメラに映らない三人の役者
三人の役者は『素晴らしき哉、人生!』でいうところの堕天使でしょうか。この人達は同僚達が雇った役者であり、普通の人間だと思います。では何故通行人には見えず、カメラにも映らない?通行人はエキストラを使ったとか、CGを施して役者を消したとかそういう説明もありません。むしろその説明を省かなければこんな意味不明な映画になっていなかったかもしれません。
3.主人公は妻の顔が分からなかった?
映画の終盤になって、同じ境遇の娘を亡くした女性が妻だと分かりました。子供の名前と病名を知っていたからです。これは泣けるシーンのような演出でしたが、不明点が多すぎてあまりスッキリしませんでした。
ラストは夫婦仲睦まじく公園を歩いてスタッフロールです。エピローグを期待していましたがそれもありません。何も解決していないじゃん!
『素晴らしき哉、人生!』のようにきっと大どんでん返しがあるんだと集中して見ていましたが抽象的な会話が最初から最後まで続き、抽象的なまま終わりました。これは何を考えて作ったのかさっぱりです。説明不足過ぎでわけのわからない映画でした。