「バブバブビームを浴びたのは作り手…」映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
バブバブビームを浴びたのは作り手…
映画クレヨンしんちゃん25作目。
ここ最近好編続き、去年の『ユメミーワールド』は久々の傑作だったが、今回のは…。
いや、ハッキリ言ってしまうと、『3分ポッキリ』や『ケツだけ爆弾』や『野生王国』に並ぶくらいビミョーであった。
まず、話がねぇ…。
突然、野原家にUFOが墜落。宇宙人の子供・シリリの不思議な力によって、ひろしとみさえが子供になってしまう。
元に戻せるのは、はぐれたシリリの父だけ。
野原一家とシリリは、シリリの父を探す日本列島縦断の旅に出る…というもの。
しんのすけ映画のパターンの一つである冒険モノはいいとして、冒頭、UFO墜落という話の始まりがお粗末過ぎる。
しんのすけ映画はいつだってハチャメチャだが、ハチャメチャの中にも事件に巻き込まれて話が進んでいく面白味があったのに、今回は事件の方から野原家にやって来るという幼稚な発想に序盤から興ざめ。
えっ、何で? 何かしら伏線が…と思ったら、それも無く、今回話の面白さがまず失われた。
今回の新キャラ、シリリ。
地球人を下等生物と呼ぶ知的異星人ながら、まだまだ子供。父親を敬愛し、父親の言い付けを絶対守る。
母星では皆成長させる力を持ってるのに、子供に戻す自分の力に悩んでいる。
今回の主役キャラたが、残念ながらあまりシリリのキャラに魅力を感じず。沢城ボイスはいいが。
しんのすけ映画は個性的なキャラも魅力の一つだが、今回シリリとその父、UFO大好きの怪しいおじさんくらいで他特に見当たらず、その面でも乏しい。
しんのすけとシリリの友情、父子関係、大人の傲慢、いつもながらの家族愛も一応はツボを抑えて描いてはいるが、何だか今一つ物足りない。
毎回毎回グッとくるような名台詞やおバカな笑いも不発。
父親と再会出来たシリリ。しかし…。クライマックスの展開やオチもつまらない。
25作記念という事で、過去24作のマニアックなキャラがマニアックに至るところにゲスト出演しているのは愉快だったが、全体的に今回は期待外れ。
どうやら作り手側がバブバブビームを浴びてしまったようだ。