「ドキュメンタリーを超えたフィクション装置」太陽の下で 真実の北朝鮮 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーを超えたフィクション装置
「アクション!」で演技が始まる。「カット」で終わる。だがその後のカメラを回しっぱなしにしておくといろんな映像が映りこんでしまうものだ。北朝鮮側としてはおそらく「イメージビデオ」的な位置付けで本作の製作を許可したのだろうが、しかしそれにしても、家庭内の家族団らんの食事シーンでいきなりフレームの外側から奇妙なおじさん(北朝鮮側の演出家)がふらりと入ってきたりするのだから、その異様さのインパクトは計り知れない。
事実に即した映像をドキュメンタリーと呼ぶならば、これらの「意図された虚構性」のもとに成立した映像を私たちはなんと呼ぶべきなのか。そうやって考えていると、いつしかこの映画、そしてこの国の国家像までもがまさに「劇映画」であり「フィクション」そのものであることに納得がいった。もっともこのフィクションは、カットがかかっても終わらない。そこに最大の怖さがあるわけだが。
コメントする