「1時間20分 なにを見せようとしたのか」デジモンアドベンチャー tri. 第4章「喪失」 粉空気さんの映画レビュー(感想・評価)
1時間20分 なにを見せようとしたのか
私はデジモンシリーズが好きで、大体の作品は目を通してます。
tri.も例外ではなくこれまでの3章までも文句を言いつづけながらも公開初日にPS storeで購入し、見てきました。
3章の最後で太一たちは苦渋の決断でパートナーないしはデジタルワールドをゼロに(リブート)する事で危機を脱しました。
そしてパートナーに再び会うためにデジタルワールドに再び舞い降りたところで、3章は幕を下ろしました。
そしてこの4章となるわけですが、酷い。
内容の無さ、全体的な脚本、演出が絶望的。
これまでの話でダラダラではありながらも進めてきたストーリー。(メイクーモンとはなんなのか。姫川の目論見とは? など。)
この姫川の目論見については冒頭と物語中盤で触れられ、姫川がかつてのパートナーに会うことを望んでおり、それのためにイグドラシルとの接触を果たした。と説明されます。
4章にて進んだ話はこれだけです。
さらには随所に見られる時間稼ぎとしか思えないシーンがこの映画のスカスカ具合を加速させています。
例えば中盤、子供達とデジモンがシャッフルされ、3人1組程度に別れて行動する場面がありますが、そのほとんどが紙芝居のような動きのない絵で進行していきます。
その間特に精神的に成長したような描写もなく、そもそもパートナー同士ではなくバラバラにシャッフルされてるため絆どうこう言われても薄い。
そんななかゼロからのスタートとなったパートナーデジモン達がかつて丸一年かけても到達できなかった究極進化に続々と覚醒してく様はカタルシスのかけらもありません。(進化バンクもしつこく、長い)
話の都合上仕方ないといえばそうなのかもしれませんが、ならばそもそもリブートなんて展開にしなけりゃ良かったんじゃ?と思わずにはいられません。
忘れてはいけないのはtri.は全6章であるということ。
先ほども言った通り4章で進んだ話は姫川関連のものだけなんです。
このtri.の物語において太一たちはどういう役割を持っているのかがいまだ不明瞭なのが非常に不安です。
別に太一たちがいなくても話進められるんじゃないのかと思えてしまいます。
でもそれじゃあ困るんですよね。だってこれは"デジモンアドベンチャー"の続編なんだから。
あくまでも太一たちが考えて行動して、その先に困難があってそれをデジモンと力を合わせて解決する、というのが話のメインであるべきでは?
ぽっと出のキャラたちの過去にこんなことがあった!というのを見たいんじゃないんだとわかってほしい。
それで4章はメイクーモンが暴走するシーンで終わりますが、それ何回めなのかと。
また結局リブート前と状況変わんないじゃ?
毎回おんなじ事の繰り返しを見せられてるだけでなんの進展もないです。
3分の2を終えた時点でこれはあまりにもヒドいと思います。
02のキャラも最初の最初っから示唆しつつももう4章まで終わっちゃいましたよ?
もうなんか色々腹が立ってくる作品でした。
少なくとも私が見たかったものはこんなじゃなかった。
デジモンというコンテンツに愛が感じられない。
ファンの人たちに対する愛が感じられないです。
良いところはAIMさんの歌声だけでした。