劇場公開日 2017年3月4日

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「暴力と恫喝と焦燥が生み出す戦慄と笑い。」アシュラ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5暴力と恫喝と焦燥が生み出す戦慄と笑い。

2017年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

興奮

韓国の犯罪映画の多くは一触即発の緊張感をはらんでいるが、本作はそれが二倍三倍に濃縮されて2時間以上ずっと持続する超濃厚仕込みだ。

ギスギスした陰惨な内容ではあるが、これだけは言っておきたい。確かにろくでもない人間が騙し合いどつき合い殺し合う映画だけれど、最高に笑えるブラックコメディでもあるのです、と。

とりわけスゴいのが街を牛耳る悪徳市長を演じたファン・ジョンミン。私利私欲のためなら恫喝や暴力だけでなく、土下座もすれば自らを傷つけることも厭わない。これほどなりふり構わない悪党も珍しく、大袈裟でなく『ダークナイト』のジョーカー以来で映画の悪人像を更新したと思う。

実質的な主人公であるチョン・ウソン扮する汚職刑事も、破れかぶれ過ぎる中盤のカーチェイス以降は本当に何をしでかすかわからない。これほどまでに出演者全員が大熱演して、それが作品の個性と勢いとユーモアに繋がっている。おみごと!

村山章