「良い裏切りの連続」君の膵臓をたべたい(2017) とろっとさんの映画レビュー(感想・評価)
良い裏切りの連続
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感動を誰かと共有したくて投稿しました。
ありがちな悲劇のヒロイン系だと思っていましたが、良い裏切りが多く、他の類似モノよりも心を動かされました(考えさせられました)。
私にとっては以下の3点が裏切りでした。
①ヒロインの死が病死ではなく、殺人であること
②病気に病んでいる人にとって、普通に接してもらえることが特別だということ
③「好き」とか「愛している」という言葉を使わずに愛情を伝えていること
①によって、「生きる」ことは当たり前ではないと伝えています。「1日1日を大切に」というのはあまりにもありふれたフレーズですが、突然死にすることで、人はいつ死ぬかは分からないという事実がより強調して伝わります。残される方にも恋人、家族、友人がいつ死ぬか分からないと訴えているのでしょう。
②は目から鱗でした。体や心を病んだ人に対して、いつも以上に明るく振る舞ったり、悲しんだりするのが人だと思いますが、それは当人にとっては逆に悲しみを冗長させるだけのものかも知れません。何もなかったかのように、もしくは病気を会話のネタのように、普通に接することが当人にとっての日常を体感できるものなのかもしれません。
③明らかに愛し合っているシチュエーションを作らないことで、人生と向き合うストーリーに明るさを与えていると思いました。
一つだけ分からないのが、何故事故ではなく、殺人にしたのでしょうか。
事故死だったらどう感じるのか想像してみましたが、あまりピンと来ませんでした。事故死の方がセオリーな気がするので、意味があるのでしょう。
いずれにしても素晴らしい映画です。この原作も読んでみたいです。
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