「中途半端な演技」君の膵臓をたべたい(2017) 福田恆存さんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端な演技
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人間とは総じて「劇的」な生き物でありませう。
我々は常に自分というキャラクターを演じて生きている。(逆に100%素の自分など、当の本人ですらよく分かりませぬ。)
本作の桜良とぼくも例に漏れず「劇的」であった。
桜良は明るくてみんなの人気者。家族や友達の前でも良い子を演じている。
ぼくは誰とも交わらずに本ばかり読んでいる孤独な青年を演じている。他人には興味がないと自分に言い聞かせながら。
こうして「劇的」に過ごしてきた二人は、病院での邂逅によって、徐々に【中途半端な演技】を見せるようになる。つまり、自分というキャラクターを演じている中に、本当の自分が顔を出すようになるのである。
そして最終的に、桜良の「優しさの死に化粧」はすっかり剥がれ落ち、ぼくの「想いを飲み込む美学」は完全に崩れ去った。
この瞬間、我々観客の目からは、涙がこぼれ落ちるのです!!
主役の浜辺美波さんと北村匠海くんの表現力の高さと、監督さんの意匠を凝らした演出がこの「劇的」なる桜良とぼくの数奇な出会いと別れをより素晴らしくしていると感じた。
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