劇場公開日 2017年7月28日

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「ありきたりの表現ですが、感動。」君の膵臓をたべたい(2017) mataさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ありきたりの表現ですが、感動。

2017年8月5日
iPhoneアプリから投稿

初めてレビューいたします。
この作品はまず原作に興味が湧き、読みたいと思っていましたが結局未読で観賞。
若いふたり の物語ですが、実は『死』と向き合う人間にとっての永遠のテーマが託された内容だと感じました。
重なる日々の大切さ、偶然ではない必然。そして閉ざしたふたりの想い。
儚さ…その言葉が思い起こされました。
映像では一瞬で語れる表情の繊細さなどはきっと原作では勿論文字で描かれてわけで。そういった意味では映画を観終えた時点であらためて原作を読みたいと感じました。きっと 感情移入が映画以上になるかな?
演者さんは全てが素晴らしかったです。
特に私は『僕』を演じたおふたり(特に北村匠海くん)の感情を抑えた演技に引き込まれていきました。おふたりが感情を抑えきれずに となるシーンは涙腺が震えました。
また 浜辺美波さん。演技も然る事乍ら、ナレーションをされた時の声の表現力、素晴らしかったです。
勿論、ロケーション含めた映像の綺麗さ、脚本の構成、エンドロールで流れる主題歌…なども引き込むには充分すぎるほどでした。

余談ですが、以前私は 当時付き合っていた彼女を病で亡くした経験者です。ある日突然に。
ちょうど 世代もこのストーリーのふたりと同年代。
事実を受け入れるまで数ヶ月、引きづる事10年。この間あえて私は彼女のことや彼女との共に過ごした思い出に向き合おうとはしませんでした。
(10年間 命日には欠かさずお墓参りをしていましたが哀しみと辛さしかありませんでした。)
しかし、そこから抜け出せたのは 10年後のある日突然届いた、彼女の御両親から届けられた当時の彼女の日記と、既にこの世に存在しない彼女を受け入れる為に辿ったふたりの思い出 でした。
死を受け入れるのは容易ではありません。愛するひとの死は尚更です。しかし 前に進むために必要なのは喜びも悲しみも全てを受け入れたうえで 踏み出す1歩。
今 私の中には思い出せば笑顔の彼女がいます。

すみません、個人的な話を盛り込み長文になってしまいました。

生きているありふれた日常が、どれほど素晴らしく、どれほど大切か…。
私達は気付いているのでしょうか?
そう思うことは決して容易ではありません。

しかし、
ひと は必ずこの世を去ります。

是非沢山の方、年代を問わず多くの方に観て頂きたいと感じました。

makoto