「意外にも正統派青春映画」君の膵臓をたべたい(2017) あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)
意外にも正統派青春映画
なんて正統派な青春映画なんだ!!!!今時珍しい程の清純な高校生カップルが眩しい青春ストーリー。(清純という言葉自体が汚れている昨今だが他の表現が思いつかない。) 真実か挑戦かゲームをこんなに純粋な用途で嗜んだ男女が嘗てこの世にいただろうか!?笑
浜辺美波の目で訴える演技が素晴らしく、桜良の小悪魔的な可憐さが爆発的破壊力だ。謙虚に桜良を思う“僕”にも非常に好感が持てた。北村匠海の名前を覚えておこう。大友花恋も絶妙だったなぁ。
光を取り入れた美しい映像が良かった。。
青春映画と恋愛映画の間のようなジャンルも絶妙だった。死が目前に迫っているために、お互い好意を持ちながらも『仲良し』の関係をキープし続ける、って何なんですかこの絶妙な距離感は。
君の膵臓をたべたいとはなんと美しく強い愛の言葉か。甘い恋愛感情だけでなく、尊敬や憧れ、消滅(必ずしも死と同義ではない。)への怖れを含んだ美しい表現が衝撃的だった
半分の月がのぼる空以来の綺麗なラブストーリーだが、細かい演出には現実感が無い。
いくら不治の病を抱えていても大事な人を殺されて流す涙があんなに美しい筈がないと思うのは自分だけ?親友への大事な手紙を図書館の本に紛れ込ませる展開といい、退職届をちらつかせた演出といい、ちょっと無理がある。恭子の描き方も浅かったなぁ。
それに大人役はちょっとミスキャストか。大友花恋→北川景子も矢本悠馬→上地雄輔も違和感あるし(尤も、矢本→上地は終盤までは同一人物であることが隠していたので狙い通りだろうが、その演出要る?)、小栗旬はもっとダーティーでセクシーな役が似合う。
って大人役の出演は映画版オリジナルなのか。笑
どのキャストも演技は上手いんだけど、勿体無いなぁ。
p.s.
原作を読んだのだがなんと完成度の高い原作だったことか。裏を返せば映画版の杜撰さが際立ってしまった。もともと120点の作品を130点にしようと欲張った結果、改変部分に杜撰さが残り90点になってしまった感じ。欲張るならせめて原作以上にはしてほしい。原作に忠実にさえ作れば傑作になったのに、非常に勿体無い。原作に忠実に高校時代だけで今からリメイクしてほしいくらいだ。