「心のすれ違いと孤独」ゲアトルーズ いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
心のすれ違いと孤独
愛の不毛さと孤独と死を描いていて、これは日本の小説家福永武彦が好んだテーマではないかと思いだした。もう、四十年前に読んだ彼の「死の島」がこれだった。
傑作「奇跡」を鑑賞した後の上映だったので、残念ながら作品の質は落ちている。しかし、この映画作家に関心を持った方なら、一度は観ておくべきだろう。合格点は与えてもいい内容だ。
男女の愛情のすれ違いを描き、愛することが一番大事だと結論づける。愛の成就は関係ない。浮かび上がるのは、孤独と死である。まさに福永武彦の小説だ。福永武彦は主人公に芸術家をよく選んだ。ゲアトルーズも声楽家だ。
恋愛を描くなら、本来男女が向き合って対話すべきなのに、独白が多い。もう、終わった恋だからだろうか。
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