「究極フォルムの映画だった。」ゲアトルーズ ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
究極フォルムの映画だった。
実はゲアトルーズは初めて見る。こりゃあぁ、「絶対映画」だ。ある映画監督の究極のフォルムを用いて描かれた人の生のお話。そして遺作にぴったりの題材。ちょっと神がかった題材をいくつかみている側からするとすごく庶民的な話からスタートするけど途中から哲学的になり、まあ結局は人生の終盤の姿を見せつけられる。
なんとなく、というか意外に「偶然と想像」を思い出した。しかし、人の思いが徹底的にズレていくのにカメラはカットバックしない。ものすごい葛藤を延々と話してるにもかかわらず同一フレームで各々明後日の方向みて話してる。距離は近いのに交わらない。ぶつかりあってるのでなくて食い違って更に各々の思弁の世界を吐き出して、、という演劇的アプローチ。主要4人のキャラクターはだいたい同一舞台入れ替わりでだいたい2人になる。最後の最後までその繰り返し。時代が飛んだラストでも更にその姿が映し出されてある意味ゾッとした。「愛」がテーマだったと思う。モノクロを活かした背景、舞台装置も象徴的。だから「愛」を巡るやっかいな生が具体的でなく漂う感じになっていて、ああ、もう愛なんて掴めないんだよ、というのがドッと襲ってきました。
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