最後の追跡のレビュー・感想・評価
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これはある意味、最後の西部劇なのかもしれない
『ウィンド・リバー』『ボーダーライン』で知られるテイラー・シェリダンが脚本を手がけ、アカデミー賞では作品賞をはじめ4部門の候補入りを果たした秀作。日本では劇場未公開ながら、映画好きの人ならこの一本の中にどれほど西部劇の要素が組み込まれているのかが瞬時に見て取れるはずだ。
かつてのカウボーイたちが今や借金に苦しみ、貧困の連鎖をどうにか食い止めようと、その身を顧みない決断を下しゆく様に言いようのない悲哀や苦しみを感じずにいられない。白人とネイティブ・アメリカンからなる二人の保安官が交わす「かつて白人たちが奪った土地が、今度は銀行に奪われようとしている」というセリフが極めて示唆的でもあり、この絶望的なほど広大な舞台にアメリカの歴史や社会性が全て凝縮されているのも高評価の理由の一つなのだろう。強盗を繰り返す兄弟役の二人の演技が素晴らしく、彼らを追うジェフ・ブリッジスの力の抜けた演技も忘れがたい。
最後の強盗
2024年11月13日
映画 #最後の追跡 (2016年)鑑賞
牧場を差し押さえから守るため連続銀行強盗に手を染める兄弟
定年目前のテキサス・レンジャーは相棒のインディアンと事件の捜査に
安定してる作品ですが、少し地味かな
これも西部劇?
西部劇をフォーマットに、「資本主義」を描く
「銀行強盗」と彼らを追う「保安官」
西部劇で定番の構図だが、舞台は現代。
あと「ロビンフッド」みたい、とも言える。
リーマンショックを念頭に置いているのかも。
だからこそ、主人公たちを支える(?)周囲の人がいるワケで。
「善悪」を観客に問う作品
面白かった。 日本で公開されてても果たして観ているかは不明。 オー...
面白かった。
日本で公開されてても果たして観ているかは不明。
オーディオブックもそうだけど、ネット経由では、アナログでは手に取らないものに興味が湧き、めっちゃ良作に出会ってる。
西部劇臭がムワッと匂う。
アメリカの抱える貧困問題と兄弟愛
最初は退屈なストーリーに感じてましたが、観終わってから訴えられるメッセージがあるように思えました
兄弟が2台の車に別れるシーンはジーン、でもそういう兄弟愛のストーリーではなく、「先住民の土地を奪った白人、その白人の土地を奪う銀行」というセリフにあるようにアメリカの貧困問題がテーマなのかと
今作では重い物を抱えたような深い演技でいつもと違うクリス・パインがとっても良かったです
映像のトーンが素晴らしい
Netflix凄いなぁ…兄弟とレンジャー2人の4人で進むストーリーは、それぞれの立場で当然の乖離があり、哀愁を感じざるを得ない。そこを、舞台であるアメリカ南西部の荒涼とした土地が作品全体に意味づけしている。いや〜渋いなぁ…
【アメリカ西部の貧困問題を先住民族問題を微妙に絡めながら、西部劇スタイルで描き出す。現代アメリカの問題を鋭く抉り出す、テイラー・シェリダンの辣腕に驚く。】
ー冒頭、寂れたテキサスの田舎町の壁に殴り書きしてある”イラクに3度行っても、見返りなし”という言葉が印象的である。-
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タナー(ベン・フォスター)とトビー(クリス・パイン)のハワード兄弟は小さな銀行ばかりを狙って、銀行強盗を繰り返す。但し、奪うのは少額紙幣のみ。スマートなやり方である。
兄弟の過去の事情も劇中、二人の台詞から分かって来る。
彼らが奪った金を信託で預ける銀行の男の言葉も辛辣に響く。
”貴方達の両親が困っている時に、金を貸さなかった銀行から金を取り立てて、家族のために信託投資をするのだから、問題はないでしょう・・。”
又、ハワード兄弟を追う、老練のレンジャー、マーカス(ジェフ・ブリッジス)と相棒アルベルトの関係の設定も絶妙である。マーカスは生粋の白人。アルベルトは先住民族の血を引いている。マーカスはそれを揶揄い気味にアルベルトに話すが、彼はきっぱりと、
”150年前、ここは私の先祖の土地だった・・。”と言い切る。笑う、マーカス。
そして、大きな銀行を襲い、人を殺めたトビーは負傷したタナーを逃がし、一人で、自警団及びレンジャーたちに立ち向かう。そして、アルベルトは死亡する・・。
トビーが、高台の意思に座って、”草原の支配者、それは俺だ・・”と、嬉しそうに叫んだ彼を、ライフルで撃ち殺すマーカスの姿。
ー草原の支配者はお前ではない・・。-
タナーが離婚した妻と息子二人に贈与した、石油が出る牧場の手伝いをしている時に、マーカスが訪れ、二人で話すシーンは今作の白眉であろう。
<見放された土地と人々の姿を鮮烈に描くテイリー・シェリダン。彼が今作を着想として、「ウインド・リバー」を制作した事が良く分かる作品でもある。>
お兄さんが良かった!!
箱庭ゲームで手配度を上げていく感覚を味わう事ができました。現代劇なのに割と簡単に盗めるので、大胆さを上手く表現していたと思います。テキサスの(警察に協力的ではない)人や土地柄、またラストも少し物足りない感じでしたが、お兄さんの荒々しい生き様が印象的でした。
コマンチェ=敵
代々受け継がれた土地を守る為に、何とかお金集めたい弟(クリス・パイン)が、兄(ベン・フォスター)に銀行強盗を持ち掛け 強盗を繰り返すが、定年間近のテキサス・レンジャー(ジェフ・ブリッジス)が、相棒(ギル・バーミンガム)と共に兄弟を追い詰める…。
かつて、アメリカン・インディアンズのコマンチェ族から奪った土地を、同じアメリカ人に奪われそうになり、強盗を繰り返す兄弟と白人に対抗したアメリカン・インディアンズのコマンチェ族の姿が重なる…。
ジェフ・ブリッジスの飄々としながらも、鋭い勘で事件を解決に導く 老いたテキサス・レンジャーが良かったし、行き当たりばったりで、破滅の道を突き進むお兄ちゃんのベン・フォスターも良かった。
搾取される現代のネイティブアメリカン
個人評価:3.8
開拓時代に白人の軍隊に土地を奪われ、現代もなおカタチを変えながら、白人から搾取されるネイティブアメリカンの末裔達との構図を考えさせられる。
白人が生き残りネイティブアメリカンが追いやられ死んで行く世の中に、強盗という手段で負のスパイラルを脱却する主人公。クライムサスペンスに重いテーマを重ねる脚本で見応えのある一本。
ちょっぴり愛嬌のあるけど、一歩間違えたら片足に老害突っ込んでるマー...
ちょっぴり愛嬌のあるけど、一歩間違えたら片足に老害突っ込んでるマーカスおじいちゃんと、そんな上司のクソすべりギャグに毎回付き合わされる哀れな部下アレハンドロの駆け引きがじわじわ来ます。
マーカス「今に俺が退職したら、寂しくなるぜ。きっと墓の前に立つときが来たら思い出し笑いするさ」
アレハンドロ「いまそうしてやりたいですよ・・・」
田舎が似合うナイスガイ ジェフ・ブリッジスの傑作
「ムーンライト」「ラ・ラ・ランド」に継ぐ本年度アカデミー賞関連の作品を鑑賞。感想としては「ムーンライト」よりこちらの方が自分は好き。とにかく自分が想像するアメリカの田舎が堪能できる。へたするとテキサスの観光映画っぽく感じてしまうが、気がついた事はここテキサスは昔の風景から全然進歩してないんじゃないの?これ本当に去年の映画?って思うくらい普遍な土地。
端役の強烈な個性もいい。(特にウエイトレス!前半の比較的若いふくよかな女性と後半の年配の女性が笑わせる。)
本来主役は相続した土地を守るため銀行強盗を続ける兄弟なんだろうけど、見事に毒舌なジジイ保安官ジェフが完全に映画全体をコントロールしてる。このジェフ・ブリッジス、田舎が似合う。(個人的感想ですが・・)なにより彼の若い頃の出演映画で田舎が舞台の「ラスト・ショー」が好きで、どうもそのイメージを自分は引き摺ってる感じ。
102分釘ずけでした。
アメリカの現在
ジリ貧に陥っているアメリカの持たざる白人の現実という、トランプ政権を産んだ原因ともいえる現在と閉塞をじっくりと描いた秀作。
見るだに埃っぽくガラガラに渇いた空気感がそれっぽいし、役者の演技も良い。ただ、最近こういう絡みの犯罪話が多いよね。そんなに追い詰められているのかと思わせられる…
テキサス・カウボーイの漢らしさ
ローン返済の看板や先住民、コマンチ族などテーマに成り得るアメリカの問題がセリフでの説明などはあまりせず渋い演出で撮られていてボーッと観ていると大事な事柄を見逃してしまう感じ。
淡々と実行する弟の現状など感情表現が薄い分、汲み取れないし兄の最後の勇姿は凄いが行動した理由など兄弟の感情自体に描写が弱いかなと。
自警団と言われるカウボーイ達の逞しさが銃社会の不安定な安心さが恐ろしいアメリカ。
州ごとに考え方や人種まで違うアメリカ大国に驚愕。
物語の不安定さをJ・ブリッジスでビシっと固めて燻し銀な渋い作品に仕上がった。
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