「見る価値なし。」エルネスト tyobi0913さんの映画レビュー(感想・評価)
見る価値なし。
これは酷い。
「チェ・ゲバラ没後50周年という事でゲバラが亡くなる時期と重なる時代を生きた日系人に無理矢理スポットを当ててみました♪話に山も谷もないけどゴメンね〜」という感じだ。
映画のタイトルはゲバラの本名である『エルネスト』としており、字面だけ見れば、「この作品ではゲバラのどういった側面が描かれるのだろう!?楽しみ!」と思わされる。
しかし、そういった期待は盛大に裏切られる。
というのも、タイトルがエルネストとされた理由は、主人公である日系人が革命戦士としてボリビアに入国する際にコードネームとして名付けられたことに由来し、ゲバラ本人とは間接的な関わりを持つのみである。
従って、ゲバラはストーリーにちょこちょこ出てくるだけであり、「エルネストはいつ表立つんだろう?」と疑問に思っているうちに映画は終わる。
「ゲバラが主人公でないということは映画紹介に書いてあるだろ!」と反論する人がいるかもしれない。
しかし、今度は肝心の日系人に焦点を当てたストーリーが全く面白くないという問題が立ち塞がる。
南米ではかなり裕福なボリビアの日系人が医学を学ぶためにキューバに留学をし、クラスの男女関係のいざこざに慈悲をもって接してみたり、キューバ危機に巻き込まれてみたり、時たまゲバラやフィデロ・カストロと会えたり、祖国の軍事政権に立ち向かうために革命戦士になってみたり…、と歴史に変化をもたらすような行動を一切しない。
まぁ、一般的な日本人に比べれば激動の人生?なのかもしれないが映画にするには人生の起伏が全く足りていない。
こんなストーリーになるくらいなら、「南米の貧困層の青年がいかにして革命戦士へと変容し、そして、無残に散っていったのか」みたいな方向性にした方がまだ良かったはずだ。
日系人にこだわろうとするからこんなことになる。
製作者側の自己満足映画、見に行くべきではない。