「対象人物は間違いではないのだが・・・」エルネスト いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
対象人物は間違いではないのだが・・・
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チェ・ゲバラがボリビアへ戦闘参加した際、日本人が付いていったという話自体は興味深いのだが、これは正確ではなく、正しくは『日系ボリビア人』。まるで今年ノーベル文学賞を与えられる日系イギリス人と同様の距離感を感じる。
テーマは大変興味深いのだが、ストーリー展開がどうもチグハグなような印象を受けてしまった。ゲバラが広島に訪問したこととキューバ危機の問題、そして日系ボリビア人であるフレディの物語を織り交ぜ、交錯しながらの流れが上手く飲み込めずに進んでしまっている。結局、フレディの祖国愛による闘争への参加、そして儚くも散ってしまう生涯を描こうとしているのだが、どうしても中途半端さが否めない。フレディの神がかった能力の起因するところの川で溺れた経験等も上手くアバンタイトルとかに織込めばもっと劇的に演出できるのではないだろうかとか、そもそもゲバラをもっと前面にだすか、若しくは核問題とかは落とし込まなくてもよかったのではないだろうかとか、下世話な言い方だが『ツッコミどころ満載』といった構図なのである。最後の処刑時に、友人の弟に殺される不条理や、ボーヴォワールの引用、そして”オンブレ・ヌエボ“を入れ込むところとか、哲学的に色々重要なものを無理矢理詰め込んでパンパンになってる袋に思えてならない。もし監督の意図がそうであるのならばこれも一つの手法ということなのだろうが、せっかくの題材が生かし切れていないように思えるのは自分だけだろうか・・・少々解せない作品であった。
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