「ドタバタありカーチェイスありの異色のジャズ映画」MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
ドタバタありカーチェイスありの異色のジャズ映画
ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスの伝記映画でドン・チードルが主演&初監督。チードルはチードルにしか見えないが、監督としての攻めっぷりはかなりのもの。
題名の通りマイルスが表舞台から姿を消した5年の隠遁期がモチーフだが、描かれるのはわずか一昼夜の出来事。ユアン・マクレガー扮するフリー記者と一緒に、消えた宅録テープを追ってNY中を駆けずり回るのだ。
偏屈ジジイのマイルス大先生と頼りなげな笑顔なら天下一品のユアン記者のバディムービーでもあり、スコセッシの『アフター・アワーズ』みたいな不条理コメディでもあり、クライムアクション的要素まで飛び出すのだからおよそ万人が想像するジャズ映画とはかけ離れている。
それでもマイルスの天才性が愛嬌たっぷりに浮かび上がり、興味の扉を開いてくれる。そしてあるキャラがマイルスの若き日の姿であると知ると、すべてが摩訶不思議な一夜の夢のようにも思えてくるのである。
コメントする