「よくなかった」ブレードランナー 2049 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
よくなかった
レプリカントが老化したり妊娠する機能を備えていたとは、後付けとは言え労働力として製造されていたことを考えると受け入れがたい。前作のレプリカントは4年の寿命があるからこそ、それに争うために命の炎をバチバチと火花を立てて燃やしていたと思う。デッカードがレプリカントであったとしても自分は人間であると認識しているからこそモチベーションを維持していたと思うのだが、今作のKはレプリカントとして生活して働いて食ってバッチャールな嫁を愛していた。果たして成立するだろうか。虚しくならないだろうか。人間性を無視しているように感じる。
何よりムカついたのは、デッカードが仕組まれてレイチェルを好きになると言っていたことだ。それは事実かどうかは不明だが、事実だとしたら意図が不明だ。そんな遠回りして成立するかどうか分からない恋愛を仕込む必要があるか? 事実でないとしたら、なんのためにそんな発言をしたのか不明。動揺させたかったのか? だとしたらそれも何のためか意味が分からない。デッカードとレイチェルの出会いは、デッカードは自分が冴えないどん詰まり人生を送る人間として美女に魅了され、レイチェルは自分が人間かどうか不安に苛まれる存在としてデッカードに魅了された、そんなお互いの不安や不満を埋めあわせるかのように惹かれ合った美しいものを、非常に安易に冒涜していると思って腹がたった。
後付けでなんでもいじっていいかと思ったら大間違いだと強く言いたい。ひどいと思う。見ている者を煙に巻けばいいと思っているような二転三転するストーリーも別に大して腑に落ちなくてイライラする。
ポリススピナーの危ういゆっくり移動する感じがなく、ビュンビュン自由自在に飛んでミサイルまで撃つ高機能戦闘機になっていたのも、違うと感じた。ドローンを搭載しているのも時流におもねり過ぎている感じがする。
バーチャルな嫁はすごくよかった。あんな嫁欲しい。
1回見に行って1時間くらいで寝てしまったため出て、2回目はしっかりコンディションを整えて見に行ったにも関わらずけっこうウトウトした。眠くさせて出来の悪さを誤魔化そうとしてるのではないか。