「考えることをやめてはならない。」シークレット・オブ・モンスター 神田ボレロさんの映画レビュー(感想・評価)
考えることをやめてはならない。
考えることをやめてはならない。
社会を形づくるのは個人である。
だが、個人は社会の造物主であると勘違いしてはならない。
社会は知らぬ間に、個人を蝕み始める。
そして社会は唐突に一匹のドラゴンを生み出す。
誰もそのドラゴンの手綱を握れはしない。
では社会を家庭と置き換えたらどうなるだろうか。
作中、プレスコットの父親は言う。
「たかが子供相手に手を焼くな」
マクロとミクロを縦横無尽に行き来するこの作品。
人間の集合体が、大小の差でその意味を変えることはない。
そう気付かされた。
また美しいカットと音楽は、見る人を決して飽きさせはしないだろう。
一つのシーンに寄せる心配りの一つ一つが、テーブルの光沢が、その光沢のなかに映り込む影が、この作品を彩る。
考えることをやめてはいけない。
私もあなたも、プレスコットの周りの人間も、たいして変らない。
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