劇場公開日 2018年2月17日

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「自分が大河の一滴であることを痛感させられる、あまりに巨大な流れ」長江 愛の詩(うた) ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5自分が大河の一滴であることを痛感させられる、あまりに巨大な流れ

2018年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

全てが長い旅路であり、あるいは、ほんの一瞬の夢でもあるかのよう。それほどまでに長江の雄大な流れは、時間感覚を忘れさせ、物語として受け止めるには己があまりに微細であることを痛感させられる。序盤、本作を正確につかまえようと、正しく解釈しようと努めることは正直辛かった。だが、いつしか、そういう映画ではないことに気づいた。正しさや間違いなど、そんな些細な物差しは通用しない。すべてを飲み込み、幻想さえも奏でながら、流れる。それが長江。途中からは理解することをやめ、大河の一滴になることを受け入れた。そうやって流れにただ身をまかせることで、ようやく楽になれたような気がする。果たして近年、これほど映像に呆然とさせられ、その一部であり続けたいと感じた映画があっただろうか。ある人はタルコフスキーを、またある人はアンゲロプロスの作品さえも彷彿とするかもしれない。スクリーンで見るべき、まさに人生観を変える映画だ。

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牛津厚信