「大正ハイカラ娘の恋の道」劇場版 はいからさんが通る 前編 紅緒、花の17歳 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
大正ハイカラ娘の恋の道
映画化、TVドラマ化、TVアニメ化、舞台化…あらゆる形で映像化されてきた大和和紀の名作コミックを、“まだされてない”劇場アニメ化。2部作の前編。
勿論タイトルは知ってるし、話も何となく知ってはいるが、『はいからさんが通る』自体をしかと見るのは多分初めて。
まだまだ封建的な風習が残る大正時代。
許嫁が決められていたり、女性は嫁ぐ時代。
そんな時代の花の17歳、花村紅緒。
古風でおしとやかとは程遠く。
活発、お転婆、じゃじゃ馬娘。男勝りの剣道の腕。
人生も仕事も結婚相手も自分で決める。
そこのけ、そこのけ、紅緒が通る!
紅緒が可愛い。
リアクションがいちいち楽しい。
芯は強く、男尊女卑にも堂々と意見し、立ち向かっていく様がスカッと痛快。
そんな紅緒には何と許嫁が。
産まれる前から、両家のある縁で決められていた。
勿論紅緒は猛反発。その許嫁というのが…
青年将校の忍。
容姿もさることながら、忍のイケメンっぷりが半端ねぇ!
紅緒が子供だとすれば、忍は懐深く、寛容で優しい大人。
ドイツ人の血が交じってる故ちと日本人離れした容姿だが(今風アニメなのでビジュアル系イケメン)、心は日本男児。
ある芸者や率いた小隊との関係など、彼の優しさや男気が滲み出る。
最初は反発していた紅緒だが、次第に忍に心惹かれていき…。
少女漫画の代表作でもあるので、ここら辺の描き方、実にツボを抑えている。
昨今のようなアホ設定ではなく、胸キュンもさりげなさや奥ゆかしさを感じる。
温もりあるキャラも画も綺麗で、大正という時代の雰囲気もいい。
展開も軽快。
でも確かに相当省略されてるのは分かる。
ファンからすればそれぞれ思い入れあるエピソードがもっともっとあり、不満だろうが、“初はいからさん”からすればなかなか楽しく見易かった。
口にはしてないが、お互い想い合っている紅緒と忍。
忍に出兵の命令が。シベリアへ。戦死の報が…。
就職した出版社で、シベリアで忍と思われる日本人が。
紅緒はシベリアへ旅立つ…。
果たして、紅緒と忍の再会は? 恋の行方は?
実は気になっちゃってWikipediaで調べてしまったが、原作のエピソードが最後まで映像化されるのはこの2部作が初めてだそうで、後編もちと楽しみ。