「監督の術の凄さを思い知る」忍びの国 真さんの映画レビュー(感想・評価)
監督の術の凄さを思い知る
原作を読んでいるので、忍び側の仕掛けも侍側の対応も分かっている状態で観ました。
仕掛け、作中では“術”と表現されていたので術と呼ぼう。
あ~これから術が始まるな~
おっ侍気づいた!種明かしはそう来るか~と楽しく鑑賞。
忍びvs侍の戦場シーンは映画オリジナルで、簡単なCGで進軍の方向などの説明も入ってすごく分かりやすい。
原作通りにやったら森は丸焼け、血の雨必至なのに、むしろコミカルに表現されていて良かった。
そしてガラッと雰囲気の変わるラスト30分。2度目の「川」の対決は圧巻。ここは映画館の大画面と音響で観るべきところ。レンタルやテレビで観て後悔しなくて良かった~!
そしてそして平楽寺での無門の声。
低音から高音まで感情の起伏に合わせて実に変幻自在。あの叫び声には魂というか、聞く者の全身の細胞が震わされる感じがした。
取り囲む忍び役の役者さんたちの体も心なしか揺れていて、“人でなし”設定の忍びたちにも何かしら響くものがあったのかもと思わされた。
冒頭から忍びの仕掛ける術を考えながら観ていたのに、エンディングの主題歌がはじまる直前の種明かしで、監督が作品全体に掛けていた術に気づかされ呆然。
史実を基にした、負けた側から観るストーリーなのに、さわやかな希望まで感じられてほんとうに圧巻。
ぜひまた、この術が始まるところから観返したくなって、2度目の鑑賞に行ってしまった。
すっかり術中にハマっておる…
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