「過去の遺物ではなく、現代にも通じる存在として忍者を描く」忍びの国 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
過去の遺物ではなく、現代にも通じる存在として忍者を描く
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和田竜原作らしい史実と娯楽性が融合した作品に仕上がっている。その映像化を手がける中村義洋監督の手腕も安定感があり、冒頭から一筋縄ではいかない忍者戦をダイナミックに俯瞰したり、物語がコミカルとシリアスの間を行き来する流れを淀みないものとしている。そもそも本作には時代劇を担うヒーローにふさわしい強靭な精神の持ち主など誰一人いない。誰もが自分なりのやり方で飄々と世の中を生き抜こうと考えている者ばかり。
そんな彼らが一連の戦を通して、混沌の時代の中で根無し草のように生きるのか、あるいはそんな中でも自分なりに生きる道を模索するのかの決断を迫られる。この一瞬の心模様に、現代人の扮装をした人々が投影されるくだりが面白い。中村監督が、決して忍者たちを過去の遺物として扱わず、現代人にも通じる存在として映し出している様にハッとさせられたし、鑑賞後には、己もケモノの様に生きてはいないかと、我が身を振り返りたくなった。
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