「イゴール・ストラウスマンと博士の創造」ヴィクター・フランケンシュタイン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
イゴール・ストラウスマンと博士の創造
フランケンシュタインが怪物ではなく、怪物を造った博士である事は知ってる方も多い。
なので本作も怪物メインのホラーではなく、博士に焦点。博士を、彼の助手となった男の視点から。
ヴィクトリア朝の英ロンドン。サーカスで酷使される名も無き“せむし男”は、ある日女性パフォーマーの命を救い、その思わぬ医学の知識を一人の男に気に入られる。ロンドン王立医科大学の学生ヴィクター・フランケンシュタインはサーカスから男を連れ出し、助手イゴールの名を与え、自身が進める研究に誘う。それは…
言うまでもなく、死から生の創造。繋ぎ合わした死体に電気ショックを与え、命を蘇らせる。
神や生への冒涜、狂気の沙汰と非難ごうごう。警察からもマークされる。
が、自身の才と研究を信じて疑わない。
まず、動物で実験。繋ぎ合わした猿やチンパンジーの死体が動き出した。しかし、そのおぞましい姿、狂暴性…。
成功は成功。次はいよいよ…。
彼は天才か、マッド・サイエンティストか…?
蘇ったそれは、命か、それとも…?
その様を、助手となったイゴールが目の当たりにする…。
助手のイゴールはメアリー・シェリーの原作小説には登場しないが、1939年の映画『フランケンシュタインの復活』以降は登場する事もあるとか。
サーカスで人として扱われない日々。
そこを救ってくれたのが、ヴィクター。
彼を友と慕う。命を救った女性パフォーマーとも恋仲に。
彼が自分の人生を変えてくれた。彼に尽くし、彼を信じる。
が、異常なまでに研究に没頭するヴィクターを危惧。
イゴールの視点から見る事によって、ヴィクターの狂気を浮き彫りに。
プロフェッサーXとハリー・ポッターの奇妙な関係。
ジェームズ・マカヴォイとダニエル・ラドクリフが共に怪演。
二人の男のドラマがメインだが、やはりフランケンシュタインに怪物は付き物。
クライマックスは怪物誕生シーン。なかなか大掛かりのセットや迫力。
個人的に怪物誕生の瞬間で終わって欲しかった気もする。
動き出した怪物は二人に襲い掛かり、B級SFアクション・ホラー丸出し。そもそもがB級とは言え、ちと白けた。
自分の研究を信じて疑わなかったヴィクター。
しかし創造した“それ”を見て、失望。この怪物は感情なども無く、生きていない。
原作小説を基にした作品では怪物の動向が描かれるが、本作はナシ。
己の傲慢さと愚かさを知ったヴィクター。
ヴィクターとイゴールは別々の道へ。
ある日イゴールの元に、ヴィクターから手紙が。
取り憑かれた命の創造より、真の命(=友情)がすぐ近くにいた…っていう事でいいのかな?