間諜最後の日のレビュー・感想・評価
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舞台は第一次大戦時も、大戦前夜に思える英独の暗闘
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妻役英国スパイのマデリーン・キャロルが、圧倒的美しさとスパイに憧れるキャラクター設定で、とても魅力的。相棒役のピーターローレが、手品でナンパするコミカルさと凄腕の共存で、良い味を出していた。そして、ターゲットを間違えて殺してしまうというストーリー展開もサマセット・モーム原作ということだが、秀逸。主人の死を感じ取った様に見えるダックスフンドの一途な動きがとても印象的。
誠実そうであった紳士で実は真の敵であった独国スパイのロバートヤングの表情及び態度の変化はお見事。列車の中に乗り込む独兵士達の不気味さと全体主義的動きは、まさにナチスそのもの。列車は英国飛行機により狙撃を受けて、独国スパイは死に絶え、そこにはコミカルさは影を潜め、まさに戦争状態。1938年、舞台設定は異なるものの、まさに第二大戦前夜を感じさせた。
とは言え最後、ヒーローとヒロインはスパイを引退してめでたく結婚とのオチは暖かく、全体的な印象をかなり和ませてくれた。
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ヒッチコック監督の玉石混交のイギリス映画
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主演のジョン・ギールグッドが若い。マデリーン・キャロル、ピーター・ローレと役者は充実しているが、脚本が未完のレベル。第一次世界大戦のアラブにおけるイギリスの支配力を扱うスパイ映画だけに、舞台がロンドン、スイス、トルコと移動するが、映画のスケールにはなっていない。ヒッチコック監督らしさは、教会の死体が握っていたボタンが、カジノのルーレットのチップの代替で扱われるシークエンス。ラストの襲撃を受けて転覆する列車から主人公らが助かり、偶然にもドイツ側のスパイが下敷きになるのは、結末として安易すぎる。
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