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「罪深きリメイク」ベン・ハー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
罪深きリメイク
はっきり言って見る前から期待は最低値。
そもそも59年版は、自分にとって非常に思い入れがある作品であり、今でもハリウッド往年の名作で好きなのは?…と問われたら、すぐ思い浮かべるほど。
別に自分だけではなく、映画ファンなら誰もが疑問に思う筈。
何故、リメイクした?
どんなに現代技術の粋を駆使しても、映画製作の粋が結集した59年版を超える事は天地が引っくり返っても無理。
ガッカリするのは分かってても、やはりどうしても気になるので見てみたが…、その通りだった。
まず、59年版の4時間近い尺を、2時間に縮めた時点でドラマ性の豊かさは消えた。
冒頭、キリスト生誕の件は丸々カット。ベン・ハーとメッサラの関係を簡単にナレで済ますというお粗末な始まり。
その後の展開も駆け足気味。
最も許せないのは、砂漠で喉が渇れたベン・ハーに、キリストが水を飲ます一番好きだったシーンがカットされていた事。別の似たシーンはあったが。
よって、ベン・ハーはどのタイミングでキリストを崇めるようになったか今一つ伝わって来ない。
これじゃあドラマにじっくり浸れもしない。
全体のバランス的に、ドラマよりアクション色が濃い。
初「ベン・ハー」の方や59年版が長過ぎて苦手な方には史劇アクションとして見易くなったかもしれないが…、コレジャナイんだよな…。
きっと作り手は、59年版の戦車競争シーンを見て、現代ならもっと迫力あるシーンが撮れる!と思ってリメイクしたに違いない。
確かに海上戦や戦車競争シーンは最新VFXを駆使して再現。
特に戦車競争シーンは極力CGに頼らず、臨場感と迫力は思ってた以上にあったが、どうも今回のリメイクはこのシーンありきの印象が否めなかった。
宗教色も薄められ、イエス・キリストは顔出しで人間味ある描かれ方。
これらの要素が鼻に付いた方にとってはさらに見易くなっただろうが、ここが本来のドラマの肝だった筈。
同じ時代に生まれ、同じ時代を生きた二人の男。
片や隣人を愛し、片や復讐を糧とし…。
運命とも言える廻り合わせで出会った時、
復讐の果ての赦し、慈愛。
ラスト、奇跡は起こっても、今回あの崇高なメッセージやテーマはあまり感じられなかった。
キャストが揃いも揃ってカリスマ性も魅力もナシ。
モーガン・フリーマンに至っては、何故出た?
1億ドルの巨費を投じた超大作史劇映画を見てるというより、破格のスケールの史劇TVシリーズを見ている印象だった。
59年版とリメイク版は別物、いちいち比べる見方はいけないし、あーだこーだ指摘する自分が卑屈なのも充分承知。
でも、それでも、
ダメなものはダメなんだ!
本当にひどかったです(。ŏ_ŏ)
59年版があまりに素晴らしかったというのもあるけど、内容が薄っぺらくなりすぎ。
確かに、モーガン・フリーマンは何ゆえ出演したんだろうか(笑)
いつも共感頂いてありがとうございます。
この映画、あったことすら知らなかった〜〜
作ったことが間違いって、想像つきます。
プロットを借りて別物のアクション物にすれば良かったかも〜