「夏休みの暇つぶしに」トランスフォーマー 最後の騎士王 sum13zさんの映画レビュー(感想・評価)
夏休みの暇つぶしに
トランスフォーマー ラスト・ナイト』を観た感想を一言で表すなら、「盛りだくさんだけど、ツッコミどころ満載」。
まず、映画の長さが際立つ。特にクライマックスが冗長で、観ていて少し疲れる印象を受けた。シリーズ1~3作目の要素も織り交ぜつつも、初代との矛盾が目立つ点は気になった。
例えば、地球がユニクロンという設定は壮大だが、過去作との整合性が取れず、違和感が拭えない。また、途中から登場するザッカーバーグ似の人物が、名前も明かされないまま将軍以上の存在感とセリフ量で物語に絡むのは唐突で、誰なのか混乱した。イグニッションチャンバーという聞き慣れない言葉も突然出てきて、説明不足に感じた。
脚本には突っ込みどころが多い。高度2万フィートで人間が平然と活動するシーンや、ケイドが急に人類の救世主として祭り上げられる展開は現実味が薄い。メガトロンが何事もなかったかのように登場し、バリケードが今までどこで何をしていたのか不明な点も、シリーズファンとしてはモヤモヤする。凶悪なディセプティコンが普通に収監されている設定も、緊張感を損なう違和感があった。
一方で、マイケル・ベイ監督の持ち味は健在。クルマと爆発のシーンは圧倒的にカッコよく、映像美はさすがの一言。ローラ・ハドックさんの魅力的な演技と美貌、アンソニー・ホプキンスさんの貫禄ある名演も光っていた。伝説のドラゴンや恐竜トランスフォーマーなど、アイデアの詰め込みは壮大で楽しめる部分もあったが、要素が多すぎてやや散漫な印象は否めない。
総じて、視覚的な迫力とキャストの魅力は素晴らしいものの、脚本の粗さが目立つ作品だった。シリーズの集大成としては物足りなさを感じつつも、ベイ監督らしい派手なアクションを楽しみたい人には刺さるだろう。矛盾や突飛な展開に目を瞑れば、純粋にエンタメとして楽しめる一本だ。