ポバティー・インク あなたの寄付の不都合な真実のレビュー・感想・評価
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貧困ビジネスの弊害と闇、養子縁組にまで踏み込む。先進国の全員が観るべき
先進国から途上国への長期にわたる支援が、その地域の産業や経済や農業を衰退させる弊害と、貧困産業の闇を描く。
また、養子縁組みという名の人身売買にもメスを入れる。
たとえばハイチでは米は完全に自給できていたにも関わらず、長年のアメリカからの米支援で、ハイチ米農家が潰れてしまった。
靴ブランドのTOMOSのキャンペーン支援で職を失った靴職人、せっかくソーラーパネルで起業した若者が、先進国から無料でばらまかれたパネルによって窮地に追い込まれるなど、枚挙に暇がない。
アフリカの有識者や学者や起業家の言葉が刺さる。
『アフリカはいつまでも乞食だと思われている。本当は経済的に自立できる力はあるのに』と。
それはアフリカの固定概念を植え付けてきた欧米のキャンペーンのせいでもあると。
第三国はいつまでも経済的に自立させられないようにしていると感じた。そのほうが経済大国にとって都合がいいのでしょう。
現地の人々は、物を大量に送る押しつけの支援ではなく、起業したい人たちへの融資や経済が回る手助けをしてほしいと願っていた。
主に欧米のNGOと政府と企業の利益の構図は、アフリカの各国政府を骨抜きにし政治腐敗も生み、経済奴隷にしているという事実。
災害が起きたときの短期的な物資支援は、現地の人々も否定していませんでした。その後、どう立ち直るか、被災地の声を丁寧にヒアリングしなければ本当の支援にはならないとつくづく思った。
『永遠に乞食でいたい人などいない』
この言葉が刺さりました。
貧困を考えさせられる作品
寄付は悪いことではない。しかし、寄付だけでは事の収拾はつかない。
たとえば、世界中からクツが寄付される。それも無料で。となると、その国にあったクツのメーカーは作っても売れなくなる。
太陽光発電用のパネルを作っていた会社も、世界中の太陽光パネルの会社が無料提供すれば、事業は成り立たない。
相手の立場に立って物事は考えねばならないという事を痛感させてくれた。
「誰のため」、「何のため」の援助なのか。
今この時代に生きている人なら、皆観る価値はあると思います。大袈裟かもしれないけれど。
善意でやっていることが、実は現地ではこんな結果を生んでいる。
日本は主に「援助する」側で、これまでにも多くの寄付、救援物質、そして技術支援なども行っているけれど、それが果たして本当に彼らのためになっているか。自己(自社)満足になっていないか。考えるきっかけになると思う。
とにかく、観ることができてよかった。知ることができてよかった。もっと多くの映画館で上映できればいいのですが。
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